とりとめないけれど

近見 竹彦

近見 竹彦
(顧問)

おしゃべり社長の多岐にわたる興味ごとをお伝えしていきます。日々の小さな気づきから仕事のダイナミズムまで、とりとめないけれどハッとする、そんなことがお話できればと思います。

アンニュイ賛歌

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先にお断りしておくのですが、今日の私はアンニュイです。だからこのブログもいつもよりちょっと覇気のないものになってしまうかもしれません。その時はどうぞご勘弁ください。


といっても、すごく嫌なことがあったとか、大きな失敗をしたとかではありません。ただちょっとしたことがうまくいかなくて、たまたまそれが重なったのです。長々と議論していたにも関わらず会議の結論が次回に持ち越しになった、とか。来客続きでコーヒーを立て続けにがぶ飲みしなくちゃいけなかった、とか。打ち合わせ中にボールペンのインクが切れてメモが取れなくなってしまった、とか。お昼を食べ逃した、とか。

一つひとつは些細なことばかりなのですが、それが続くと、「あーあ、今日はついてないなぁ」「そういえば、なんか力も出ないし…」と、こうなるわけです。

でも、そんな日もありますよね。だって人間だもの。だから私は、そういう時は徹底的にアンニュイな感じを楽しむことにしています。いつもだったら行かないような裏路地を歩いたり、普段と違うちょっぴり投げやりな口調で話したりと、アンニュイな自分になりきるのです。つまり、開きなおり作戦。

 「今日のボクはグレてるんだ!!」

こうして、心の中で合言葉を唱えて、めでたくアンニュイモードになった私は、早々に仕事を切り上げ、夕暮れ時の街へふらりと繰り出します。向かうのは、銀座でも六本木でもありません。そんな華やかでエネルギッシュな街は、アンニュイには似合わないのです。

目的地は、中延。小さな商店街をひょいと曲がって、うらさびしい通りにあるちょっとばかりすすけた酒場にしけこんで、一人冷酒を傾けます。焼豚をつまみに、隣でいい調子になっている地元の人の話を聞くともなしに聞きながら「なんでいっ」と一人ゴチていると、しだいにゆっくりと酔いが訪れます。

すると不思議なもので、ささくれ立った気持ちがすこし緩んできて、いろんな立場の自分から解放された自分がそこにいることに気づくのです。社長でもない、家庭人でもない、仲間とスポーツをしている自分でも、にぎやかに飲んでいる自分でもない。“いつもと違う自分”がいることにどこか安心するのです。年がら年中、いつも元気に明るく笑いをとっているなんて無理がある。そうじゃない、アンニュイな自分もまた自分。そのことに気づいて、ここ最近は、アンニュイな自分とうまく向き合い、あわよくば楽しんでしまうことすら、できるようになりました。「いつもポジティブたれ」と、自分の在り方を決めつけて、返って自らの首を絞め、もがいていた若かりし頃よりも、少しは成長したのかもしれません。

若い人は特に、うまくいかなくて落ち込んだり、そんな自分を受け入れられなかったりすることがあるかと思いますが、いいんです、そんな日はダメな自分になりきってしまえば。ダメな自分を徹底的に楽しんで、浮上する日を待てばいいんです。やまない雨がないのと同じように、そのうち、ダメじゃない日もくるのですから。

アンニュイ万歳!! こうして今宵も、ひとり、ふらりと中延に向かうのでした。