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欧州PR事情
PRプロフェッショナルがグローバルな舞台で活躍する機会が拡がりました。当社も世界共通のPRコンサルティング&ソリューションのプラットフォーム構築を目的に、昨年11月にフランスに本社を置くピュブリシスグループ傘下の世界最大規模のPRコミュニケーショングループMSL GROUP社と業務提携契約を締結。この機会に同グループの欧州拠点ロンドン、パリ、ベルリンの3都市を訪ね、同社経営トップや幹部、多くのPRプロフェッショナルと意見を交換しました。
ちょうどロンドン滞在中に接したのが11月23日の北朝鮮軍と韓国軍との砲撃戦、ヨンピョン島砲撃事件のニュース。黒煙が立ち上る映像に一瞬とまどったものです。ベルリン訪問では、MSLベルリン幹部とのミーティングの合間にブランデンブルグ門やベルリンの壁と共に東西冷戦の象徴的な存在だった東西ベルリンを分ける要衝、チェックポイント・チャーリーを訪れました。今は観光地として人気です。
ところで、今、中東でチュニジア政変や長期政権を維持したエジプト大統領の退陣に続いて複数の諸国でも争乱が発生。リビアでは内戦に発展し、NATOを中心とする多国籍軍と交戦が続いています。他の中東諸国でもドミノ的政変が続いています。欧州では中東との距離の近さや文化、交易の歴史、移民の存在等の背景から、毎日大量に中東関連のニュースに接することができます。訪問した3都市とも、ホテルの部屋でテレビをつけると多くのチャンネルで中東のニュースや番組が放送されていました。市内でもアラブ系資本の存在を身近に感じました。
私が30代半ばだった頃に、1989年のベルリンの壁崩壊や地中海マルタ島でのゴルバチョフ・ブッシュ(父)会談と冷戦終結宣言、1990年の東西ドイツ統一、1991年の湾岸戦争やソ連崩壊等の歴史的大ニュースに接した記憶が蘇ります。当時、社会や国民に大きな影響を与えたのは、国境を越えて電波にのって情報が届くラジオやテレビメディアの存在でした。今日では、個人が情報の受発信や交換ができる、インターネットを利用したソーシャル・ネットワーキング・システム(SNS)のような新たなメディアが急速に影響力を高めています。
中東の政変の連鎖で注目されるのは、なんといっても情報・通信の威力でしょう。特にフェイスブック、ツイッター等のソーシャルメディアの存在が大きく、今回の政変はまさにメディアによる革命、民衆が手にした情報通信革命とでも表現できそうです。改めて情報は武器なり、現在は情報戦と感じた次第です。また、3月11日に発生した東北関東大震災でもソーシャルメディアを通じたコミュニケーションが活発に行われ、災害時や緊急時に、これらソーシャルメディアが一つの社会インフラとして機能する有効性を目の当たりにしました。
ソーシャルメディアの発達は新たなコミュニケーション領域の拡大を促しましたが、反面ではリスクもはらんでいます。情報通信技術の進歩によって通信の管理や統制、情報環境格差や技術的制約から解放され、情報発信の主導権は利用者に移りました。SNSコミュニティでの対話やコミュニケーションによって国境を越えて新しい価値観が生まれ、経済や社会の価値観も変えていく可能性があります。これはPRビジネスの成長にも大きな可能性を示唆するとともに、我々PRパーソンも新たな課題の解決に向き合わなければなりません。
コミュニケーションは対話の時代に入っていく、と強く感じています。欧州のPRプロフェッショナル達は、これをエンゲージメントと表現しました。企業、行政、各種団体等情報発信の主体者が社会やステークホルダーから信頼される存在として受け入れられるよう、対話を通じてステークホルダーの理解・寛容・支持・参画を達成しようとするコミュニケーション戦略の提唱です。
対話の時代にあっては、コミュニケーション・アドバイサーの果たす役割は大きくなります。PRプロフェッショナルには洞察する力と創造する力(クリエイティブ力)が問われることになるでしょう。実に挑戦しがいのある仕事です。



