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太田 浩嗣

太田 浩嗣
(取締役常務執行役員)

日々新しいソリューションが生まれるマーケティングPRのダイナミズムを共有できればと思います。日々生涯最高のソリューションを!共に悩み、新しい価値創造にお付き合いください。

春節の銀座

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 「銀座は、新旧あわせのむ“場の力”がある街」、銀座通連合会会長でもある資生堂の福原さんが朝日新聞でお話になっていました。銀座は震災などで大きな被害を受けても、新しい人と文化で立ち直ってきたともあります。確かに今、銀座は老舗、百貨店、海外ブランド、ファストファッションとまさに新旧が融合して街を形成しています。

 そんな銀座にここ数年闊歩しているのが、中国の方々です。昨年のこの時期も、銀座だけでなく日本中に中国人観光客があふれ、元気の無い日本にあって猛烈な消費行動で、我々を驚かせました。あれから1年、今年も春節を迎えたわけです。元高+円高の影響で欧米旅行に鞍替えした人も多いそうですが、とはいえたくさんの中国人観光客が、銀座にやってきました。    
   
 しかし、今年は何かが違います。そう、対応するお店の皆様の顔が違うのです。昨年は、言葉の問題が第一、買い物の仕方の戸惑いが第二、売り手の準備不足で、パニックになっている店員さんが多く見受けられました。あの教訓から1年がたち、売り手の表情にゆとりが感じられるのです。それもそのはず、この1年間、中国人観光客受入のために、各所で準備を進めてきたからです。景気が回復途上の日本経済下にあって、中国人の消費意欲はまさに日本を助ける特効薬といえるのです。

 ブランドショップに足を踏み入れると、ずらっとバックを並べて品選びをしているのは、半分以上が中国人。カップルの日本人が、買おうか買うまいか悩んでいる姿を尻目に、2つ3つとまとめ買いの中国人は決して珍しい光景ではありません。高級ブランド店の手提げ袋をいくつも抱えた中国人観光客に銀座のそこここで出会う。うーん。うらやましい。

 さてさて、ブランドについで人気なのが、化粧品。百貨店の化粧品売り場も人気で、その場でお化粧のデモンストレーションにも積極的に参加している人も多いのですが、買い物上手の情報通が集まるのはドラッグストアです。ここでの最大の特徴は、バスで乗り付ける団体観光客を効率的に裁くために、事前に中国人の化粧品ニーズを調査してか、いくつかの人気パッケージを準備して売っています。自分用なのかお土産用なのか、一人でいくつものパッケージを買い捲るのです。買い手の消費力もたくましいのですが、売り手のマーケティング力も素晴らしい。単なる商品の寄せ集めパックではなく、特に中国人に関心の高い基礎化粧品などきちっと調査している跡がうかがえます。
 
 秋葉原の電気街や家電量販店では当たり前の、店内の中国語表示も今年は、銀座の各所で目にします。百貨店をのぞいてみれば、中国語のパンフレットやチラシは当たり前、耳を澄ませば当たり前のように日本語に続いて中国語の案内アナウンスが流れてきます。インフォメーションカウンターには、“中国語話せます”と名札をつけたスタッフが手馴れた対応で案内します。人気なのは、デパ地下。いたるところで、試食に興じる中国人を相手に、店員もなれた口調、身振り手振りで対応しています。昨年のパニック顔は今年はありません。

 銀座三越では、店内の買い物案内、通訳サポートは無論ですが、銀座の街ひいては東京の街をも案内をする親切さ。外国人観光案内所には、欧米人、アジア人とひっきりなしに出入りしています。

 銀座の顔とも言える百貨店は、このところ売上も減少傾向で、統合も珍しくありません。三越も伊勢丹との統合となりましたが、昨年の銀座店リニューアルでその役割が大きく変化したように感じます。かつて、消費の中心的存在で、生活者のための文化の発信基地であった百貨店は、今は、街との共生を意識しています。お客様への案内は外国人に限ったことではなく、日本人にも同様のサービスを提供しています。店内に無いものは、銀座で共に商売を営む老舗をも紹介しています。三越の9階には“銀座テラス”という名の癒しの場があります。銀座の喧騒をひと時忘れ、子どもたちが芝生で走り回り、OLが昼食をとれる銀座では珍しい空間です。奥には小さな農園があって、オープン時に地元の小学生が野菜の植え付けをしました。きっと美味しい実がなって、今度は収穫を楽しむことでしょう。

 銀座三越が標榜するのは、銀座の街全体が、繁栄することで新しいお客様が来街し、三越だけでなく銀座の老舗や新興ファッションなどすべての商いが飛躍することです。外国のお客様が、どんどん来ていただけることで新しい人との交流が生まれるのもその一つです。
まさに、前出の福原さんがおっしゃる、新旧あわせのむ街になるということです。

 バスガイドさんに訪ねると、銀座の後は秋葉原で買い物、東京に泊まって翌日は富士山に観光に行くとのこと。まさに典型的な、中国人のための日本ツアーのご様子。ブランドや家電ばかりでなく、日本の自然や文化にも触れてみてください。富士山も美しいですが、日本にはたくさん魅力的なところがありますので。