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太田 浩嗣

太田 浩嗣
(取締役常務執行役員)

日々新しいソリューションが生まれるマーケティングPRのダイナミズムを共有できればと思います。日々生涯最高のソリューションを!共に悩み、新しい価値創造にお付き合いください。

ペースメーカー

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 快晴の東京の真ん中を、3万人以上の市民ランナーが走る「東京マラソン」が今年も開催されました。エリートランナーに混じって、ストイックに記録に挑む人、友達と記念撮影しながら走る人、はたまた仮装して走る人と思い思いのランナーたちが、新宿を銀座を浅草を走りました。今年は、市民ランナーの代表選手とも言える川内さんが見事3位となり世界選手権の切符を手にしたのは記憶に新しいところです。  

 最近、マラソンを見ていると序盤戦から中盤まで先頭集団を引っ張る人達がいることに気がつきます。いわゆるペースメーカーと呼ばれる人達です。世界記録を生み出す選手の影にはペースメーカーの存在が欠かせません。彼らは、一定のペースで牽引するばかりで無く、選手の風除けにもなるという一石二鳥の役割を持っています。レースが進むにつれ、徐々に姿を消して行き、30キロあたりで、すべてのペースメーカーがいなくなるわけです。ペースメーカーは、契約上ゴールすることは禁じられているそうですが、そのままトップでゴールしたレースもあったと聞きます。オリンピックでは、各国の出場選手枠に制限があるので、ペースメーカーは走りませんが、多くの大会では、公然とレースメイク、記録サポートを行っているのです。 
 東京マラソンでは、エリート選手のペースメーカーとは別に、多くの市民ランナーの目安になるように、一定の速度で走る一般ランナー用のペースメーカーも用意されていて、レースに不慣れな市民ランナーのペース作りもお手伝いしていたそうです。  

 そもそもペースメーカーとは、このような人ばかりではありません。心臓の鼓動を一定に保つ医療機器もそうですし、メトロノームも一定のリズムを刻むと言う意味で、やはりペースメーカーと言えます。アパレルの世界を覗けば、パリコレやNYコレがその年の流行を左右するペースメーカーになりますし、“もしドラ”のような本が、ドラッカーブームの火付け役としてのけん引役となることもあります。
これは、我々が企業の戦略PRをお手伝いする時にも同じことが必要になります。電通グループが提案している戦略PRの企画導線となる「PR IMPAKT※1」という考え方は、かつての一方的な“言うだけの戦略”ではなく、WOMを巻き起こすような“言いたくさせる戦略”を標榜していますが、しばしばペースメーカーを活用します。戦略PRの根本は、ターゲットのコンタクトポイント上に、より効果を増幅させるためのペースメーカーを設定することに他なりません。この場合のペースメーカーは、インフルエンサーと呼ばれるような“人”だけをさすのではなく、コミュニケーションをデザインする上で効果を増幅させるための、情報(コンテンツ)デザイン、情報流通デザインのことです。  

 戦略PRでは、情報デザインと情報流通デザインが大きな柱になりますが、ソーシャルメディアの普及により、情報の拡散が大きく変化していく中で、特に後者の情報流通デザインはますます重要な要素になりました。情報デザインも、アテンションを導き出すものだけでなくなってきたようです。これからは、特にソーシャルメディアの中で、信頼のある人間関係の間で共感されていく情報をデザインし、それを拡散させるための情報流通をデザイン出来ることが重要です。
企業のレピュテーション向上によって企業価値を高めるための活動には、あらゆるステークホルダーのインサイトに基づいた目に見えないペースメーカーの設計がますます求められることになるでしょう。                                
      
※1「PR IMPAKT」電通グループが提案する戦略PRの企画基本導線。
I=Inverse M=Most P=Public A=Actor&Actress K=Keyword T=Trend