都知事選の副産物

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このほど北欧・デンマークから女性の首相、ヘレ・トーニング=シュミット氏が来日した。世界一幸せな国とされアンデルセン童話などで知られる同国だが、市民の自転車利用がもっとも進んだ国でもある。統計によればコペンハーゲン市民の4割、一説では5割もの市民が自転車通勤をしているそうだ。

一方、わが日本の自転車事情はといえば、道交法では軽車両と位置付けられる自転車の本来の通行区分は車道だが、ママチャリの台頭とともに歩道走行が横行している。歩道は歩行者やベビーカーで溢れ、車道は大型車と並走を迫られるなど、危険と隣り合わせの走行を強いられる道路事情。自転車を取り巻く環境はよろしくない。

話は変わって先月の都知事選。選挙戦の最中に自転車を巡るユニークな運動がネット上で繰り広げられた。「新都知事とつくろう、TOKYO自転車シティ」キャンペーンで、NPO法人が2020年までに世界標準レベルの自転車インフラを備えた都市づくりを提唱した。各候補者に対して公開質問状スタイルで政策反映への決意を迫ったり、ネット上の署名活動などを展開。舛添新知事が当選後の会見で、自転車インフラの実現に向けて努力する旨のメッセージの発信につながった。

時機をとらえたキャンペーンは、まさにパブリックリレーションズの王道。周到な準備と戦略性、的を絞りこんだ個別の活動、著名文化人による応援団の獲得など、前知事の辞任による突然の選挙という千載一遇のタイミングを見事に活用して政策実現に向けて大きな一歩を踏み出した。自転車は健康づくりに直結し、インフラ整備は子どもからお年寄りまですべての都市生活者の暮らしやすさにもつながる一石二鳥の政策。優れたアイデアと戦略に裏打ちされたパブリックリレーションズが都市インフラの整備に拍車をかけたケースと言えるのではないだろうか。