アジサイ寺門前のイチョウの木

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風薫る季節、天気が良かったので鎌倉に出かけた。北鎌倉の明月院。アジサイ寺として有名だ。6月になると境内にアジサイが咲き乱れて大勢の観光客が押し掛けるが、連休明けの時期だったので静かな佇まいで、かえっていい時に来たなあと思えた。

門前でちょっとした珍風景を発見。イチョウの木が枝をすっかり落とされ、まるで材木が道路に突っ立っているようになっている。その横に、貼り紙があった。これが興味深い。天下の往来に貼られたものなので、全文をご紹介するとこうだ。

「この銀杏の木の剪定について当寺に問合せ又苦情等を頂きますが、この木は市道上にあり市が管理しております。今後は市役所の道水路管理課に問合せください。私見ながらその場所、環境に応じて剪定方法をもう少し工夫して考慮すべきかと思います。今は残念な姿ですが、今後の成育に期待したいと思います。尚、その他ご意見を下さる時は一方通行の匿名でなく堂々と名乗って下さる事をお願い申し上げます。明月院」


剪定されたイチョウの木の姿はどう見ても美しくない。見かけた人から寺にクレームが入る。寺からすれば「そんなことを言われても困りますよ。だってウチがやったわけじゃないんだもん」というところだろう。うん、わかる、わかる。「市役所に言ってくれ」、そうだ、そうだ。「私見ながら」、えっ、私見? 寺の掲示にある私って? 院主様だろうか。剪定の仕方にまで、つまり他の人のやり方についてまで意見を言う部分は要らないのではないだろうか。いや、おそらく言わないほうがいい。道行く人なら誰が見ても変だと思っているに違いないから。

公の場で、組織を代表する人が「私見」を言うとややこしいことになる。記者会見などでは、とくに何かトラブルが起きて企業や組織の代表者が会見する際には、組織としての見解を聞かれる。他者(他社)が絡む場合は、慎重な言い回しが必要だ。記者は会見者に「私見でもいいので」「個人的にどう思うか」などと聞いてくる。それに応じて個人的な見解を言ってしまうと、その発言が報道されて事態をややこしくしてしまうことが多い。あえて見解を言うならば、聞かれることを想定して事前に内部打ち合わせをした上で「当社としては」とすべきだ。

貼り紙を見て、明月院の苦衷を思った。人気の寺の門前の木なので、気になる。


ところで、この道は6月1日から30日まで車両は通行止めになるらしい。行かれる方は電車の利用をお勧めする。