コーポレートガバナンスとパブリックリレーションズ

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6月の株主総会のラッシュも終わり、ほっと一息。今年もさまざまな話題を振りまく株主総会が目白押しでした。そんな中、東京証券取引所によって導入された「コーポレートガバナンス・コード」。
多くの企業が社外取締役の選任や、株主還元策の充実、ROE目標の設定など、この「コーポレートガバナンス・コード」に対応した動きを見せています。
そこで今回は、「コーポレートガバナンス」と「パブリックリレーションズ」の関係について考えてみました。

 

今問われている企業統治の主体は、主に株主・投資家であり、彼らがいかに企業経営(経営陣)を監視し統治
できるかが主眼となっています。また企業統治が徹底されることにより、株主利益の最大化とコンプライアンスの徹底の二つの目的を達成しようとしています。これは欧米流の株主による企業統治を具現化したものであり、
スチュワードシップ・コードと共に、株主・投資家と企業経営との関係性や規律を定めたものといえます。

一方、日本型経営においては、株主・投資家に加え、従業員、取引先、顧客、地域社会などのステークホルダーを強く意識してきた歴史や文化があり、今回の「コーポレートガバナンス・コード」においても、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」について述べられています。このことは企業統治を広くとらえれば、ステークホルダーによる経営の監視と承認という視点が浮かび上がってきます。

 5つのステークホルダーごとに見てみましょう。

① 株主・投資家による企業統治が「ガバナンス」のもっともコアな部分といえます。独立社外取締役の選任など外部から経営を監視し、株主利益の最大化とコンプライアンス経営の徹底を図ります。

② 従業員による経営監視は、非常に日本的なシステムといえます。元々日本企業の経営者は、終身雇用制度
のなかで従業員の代表者として選ばれてきました。したがって従業員は絶えず経営層を監視し、不正や納得の
いかない経営戦略に対しては、派閥の力学や労働組合の要求の形をとって、経営陣に圧力をかけてきました。

③ 取引先は特にそれが下請けであれば、経営に対して統治能力を発揮できる立場にはありません。しかし
経営の不正や公正競争を明らかに逸脱する行為があれば、監督官庁に申し立てをしたり、規制当局への告発を
したりするなどの監視機能を有しています。また業界団体において業界内のルールやガイドラインを作り、相互に統治機能を果たすこともなされています。

④ 顧客、あるいは消費者としての経営監視は、かつては消費者団体の役目でした。商品やサービスに重大な
瑕疵があれば、企業を糾弾し不買運動などを通して不正の追及をしました。現在も消費者としての発言や行動
は、世論を通して企業に大きな影響力を及ぼしています。SNSによる情報拡散の力は強く、消費者によるネット
ワーク型企業監視ともいえる状況です。

⑤ 地域社会の住民にとって、その指摘や要望を具現化する方策は、行政や自治体への陳情やメディアへの
告発となります。行政や自治体が企業の監視をするのは当然で、法律を通して市場のルールを決め、企業の
活動を規制しています。近年は「事前規制型」から「事後制裁型」へと行政の方針も変化しています。法による
企業統治は、市場経済における原理原則といえます。

150707コラム内 図【図-1】 企業統治のPDCAサイクル

 

上記のように、日本においてはステークホルダーの監視・承認のもと適正な企業経営が協働して遂行され、
その結果企業が社会的責任を果たしながら適正利潤を得ることが継続されてきたといえます。
昨今のガバナンス・コードによる株主利益の最大化も、ステークホルダー間での利害調整を経た上での適正
な範囲内での最大化であり、経営の最終目標は長期的持続的成長であることに違いはありません。

企業統治のPDCAを考えてみると、図-1のように表すことができます。

①PLAN、取締役会における経営計画の策定
②DO、執行役員による経営活動の執行
③CHECK、監査役会における経営実態の監査
④ACTION、株主総会における経営方針、経営体制の承認

これらのPDCAを繰り返しながら企業統治が実行されていると考えられます。

この過程において、株主以外のステークホルダーも、経営に対する理解や合意をし、監視や承認を行っています。すなわちすべてのステークホルダーに対する、適切な情報開示や透明性の確保、適切な協働を行う上での相互の理解と合意形成を図ることが重要であり、このことはまさにパブリックリレーションズの重要な役目です。

企業価値の最大化と社会的責任の遂行、この永遠のテーマに向けて今日もパブリックリレーションズはその
真価を発揮し続けているのです。

以上