ステークホルダーとインフルエンサー

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前回のブログでガバナンスのことを書きましたが、そのなかで5つのステークホルダーの話をしました。株主以外のステークホルダーも、さまざまな形で企業統治(経営者の監視)に関わっているという内容でした。ところが、ブログを読んでいただいた方から、メディアやオピニオンリーダーも企業を監視しているよ、とのご意見をいただきました。

そこで今回は、ステークホルダーとメディアやオピニオンリーダーの関係について考えてみます。


ステークホルダーのステークは掛け金のこと、その企業に掛けている利害関係者のことと、私が会社に入ったばかりのころ先輩方から教えられました。ずっとそれが当たり前と思っていましたが、最近ステークとは杭(くい)のことだと聞いて「へー」と思ってしまいました。その会計の先生が言うには、地面に杭を打って自分の権利を主張したことが語源だとか。いずれにしても、その企業に対して利害関係や権利関係を持っている人ということなのでしょう。

その意味では、株主・投資家、従業員、取引先、顧客、地域社会、というのは、いずれもその企業に対して利害関係や権利関係を持っているわけで、ステークホルダーと言うにふさわしい人たちです。一方、メディアやオピニオンリーダーは、企業との利害関係や権利関係があるわけではありません。それでは彼らはステークホルダーではないのでしょうか。

151008コラム内図1

 

有名なフリーマンという学者が、ステークホルダーとは「組織の目的達成に影響を与え得る、あるいは目標達成の影響を受ける集団又は個人」と定義しています。上に挙げた利害関係者たちは、企業に影響を与え、そしてまた影響を受ける人たちです。それに比べ、メディアやオピニオンリーダーはもっぱら企業に影響を与える人たちです。社会の声や弱者の声を代弁して企業に改革を迫ってきます。利害関係者は企業の損得によって自分も影響を受けますが、メディアやオピニオンリーダーは企業の損得には影響を受けません。

フリーマンに従えば、メディアやオピニオンリーダーもステークホルダーの一員ということになりますが、利害関係者とは区別して考えなくてはなりません。最近よく聞く言葉にインフルエンサーというのがあります。企業の活動や業績に影響を与える人たちのことです。メディアやオピニオンリーダーもインフルエンサーグループと捉えることができます。ここでは、利害関係のあるステークホルダーを狭義のステークホルダー、それに影響力を行使するインフルエンサーを加えたものを広義のステークホルダーと考えます。

パブリックリレーションズの対象であるパブリックは、ステークホルダーによって構成されるといわれています。この広義のステークホルダーをパブリックと捉えれば以下の式が成り立ちます。

 ステークホルダー(狭義)+インフルエンサー=パブリック
 

インフルエンサーの中にも二つのグループがあります。専門家として意見を述べるオピニオン系のインフルエンサーと、情報やデータを伝えるメディア系のインフルエンサーです。

<オピニオン系インフルエンサー>
学者、評論家、専門家、アナリスト、シンクタンク、研究機関 等

<メディア系インフルエンサー>
新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ネットメディア、ブログ、SNS 等

151008コラム内図2

個々のステークホルダーの中で形成される企業に対するレピュテーションは、インフルエンサーによって流通し拡散していきます。それが複数のステークホルダー間で共有されることにより、パブリックにおけるレピュテーション=世論が合意形成されていくと考えると、ステークホルダー、インフルエンサー、パブリック、レピュテーションの関係がすっきりするのではないでしょうか。

パブリックリレーションズの実務の中では既に織り込み済みのことかもしれません。会社でこんなことをつらつらと考えていると、「お前は仕事もせずに…」と言われてしまう、監視の目が厳しい今日この頃です。