企業広報戦略研究所 C.S.I Corporate communication Strategic studies Institute

各種調査・研究

企業の危機管理に関する調査

~危機管理に必要な5つの力 危機管理ペンタゴンモデル。メディアと企業への調査からギャップを検証~

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CSI

企業における危機管理は、事業活動を行う上で必要不可欠の取り組みと言えます。

事件・事故・不祥事などの未然防止努力と、いざ起こってしまったときの対応、さらに大規模災害など自助努力だけでは回避しきれない危機への備えなど、準備・対応すべき危機は広範囲にわたります。

今回、企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内)は、東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センターと、「企業の危機管理に関する調査」を共同で実施しました。2015年2月から3月にかけて東京証券取引所一部上場企業(1,825社)と日本に拠点を置く外資系企業(1,170社)を対象に実施した本調査は、392社から回答を得、企業の危機管理に対する取り組みに関する興味深いデータをいくつか収集することができました。

危機管理に必要な5つの力 危機管理ペンタゴンモデル

企業の危機管理に対する取り組みを測定すべく、「危機管理に必要な5つの力」として、次の評価基準を設け、定義付けました。すなわち、
「予見力」:将来、自社に影響を与える可能性がある「危機」を予見し、組織的に共有する力。
「回避力」:危機の発生を未然に予防・回避、または、危機の発生を事前に想定し、影響を低減する組織的能力。
「被害軽減力」:危機が発生した場合に、迅速・的確に対応し、ステークホルダーや自社が受ける被害を軽減する組織的能力。
「再発防止力」:危機発生の経験と向き合い、より効果的な危機管理や社会的信頼の回復を実現していく組織的能力。
「リーダーシップ力」:組織的な危機管理力向上に対するトップなど経営陣のコミュニケーション・実行力。

【危機管理に必要な5つの力】

危機管理ペンタゴンモデルで見るクラス別データ

調査では5つの力を計測すべく、それぞれの「力」を測る10の設問(合計50問)を設け、取り組み度合いを500点満点でスコア化しました。400点以上を最高評価のSクラスとし、続いて300点~400点未満はAクラス、200点~300点未満はBクラス、100点~200点未満はCクラス、100点未満はDクラスと設定しました。

危機管理力(総合)の全体平均スコアは、500点満点で198点となり、5つの危機管理力では、最も全体平均スコアが高いのが回避力(47点)。
以下、リーダーシップ力(43点)、被害軽減力(39点)、予見力(38点)、再発防止力(31点)の順となりました。

全体平均ではスコアの低い予見力

全体平均で5つの力を比較した場合、「再発防止力」を除くと「予見力」のスコアがもっとも低いという結果が出ました。「予見力」に関する取り組みを聞いた設問では「社外有識者と定期的(3か月に1回以上)に意見交換する場を設け、自社の経営や商品・サービスに対する評価や問題点を分析している」が9.9%、「自社にとって『危機』となりうる、ソーシャルメディア上の評判・風評を把握する仕組みを導入している」が19.9%と、10項目中7項目の実施率が50%未満でした。

なお、「再発防止力」は有効回答社数392社のうち、「過去に危機への遭遇経験がない」かつ「再発防止の取り組みをしていない」と回答した企業が含まれるため、全体的にスコアが低く算出されています。

危機事象の社会からの批判を受ける度合いは「毒物・食中毒等による顧客の健康被害」がトップ

企業にとって「危機」となりうる28項目に関し、「社会からの批判が強い」と考える項目について聞いたところ、「社会からの批判が極めて強い」との回答が最も多かったのは「毒物・食中毒等による顧客の健康被害」(37.9%)でした。他方、「社会からの批判が極めて強い」と「社会からの批判が非常に強い」を合わせると、「不適切な決算・財務報告」(65.%)がトップとなり、「反社会勢力との癒着」(63.1%)、「実験・検査等のデータ改ざん」(62.8%)と続きました。

回答企業属性

調査内容

  • (企業)東京証券取引所一部上場企業(1,825社)と日本に拠点を置く外資系企業(1,170社)を対象に、各企業における危機に関する経験や認識、危機管理のための具体的な取り組み、危機管理の阻害要因、危機管理に対する問題意識を聞きました。郵送配布・郵送回収(一部インターネットによる回収)。有効回答数は392社。
  • (メディア)メディア関係者全般(WEBメディア、新聞、テレビ、雑誌等)1,638名を対象に、企業の緊急時の情報開示姿勢への期待、緊急時に会見を行う判断基準、危機事象への関心度、危機管理・災害対応に関する実例などを聞きました。インターネット調査(一部訪問留置・郵送配布回収)。 有効回答数は177名。
  • 実施時期 2015年2月4日(水)~3月13日(金)

※パーセンテージの表記は回答社実数を元に計算してあるため、総和が100.0%にならない場合があります。

東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター(CIDIR)

東京大学大学院情報学環、地震研究所、生産技術研究所3部局の連携により、2008年4月1日に設立。「情報」を核に「減災」をめざす取り組みを行っている。

http://cidir.iii.u-tokyo.ac.jp/index.html

企業広報戦略研究所(C.S.I.)

企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制等について調査・分析・研究を行う電通パブリックリレーションズ内の研究組織です。