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戦略構築コミュニケーションレポート:Vol.1 “ありたき姿”3つのプロセスで企業の魅力度を高める

コーポレートコミュニケーション戦略部 陳 妃史

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CSI Topics

企業の“ありたき姿”を明確にすることはPRの原点

企業のPR活動において最重視されている活動が「外部への情報発信活動」でしょう。その際、これまで中核に考えられてきたのは、マスメディアでした。現在も重要なステークホルダーのひとつであることは変わりませんが、ソーシャルメディアを含む多様なメディアが混在する現代において、より重要なのは、メディアではなく、それらを媒介して流通していく「ファクト」そのものになってきています。

電通PR内の企業広報戦略研究所(CSI)が開発した企業魅力度モデルでは、企業の魅力を構成する「ファクト」には「人的魅力」「会社的魅力」「商品的魅力」の3要素があると定義しています。この3要素にひもづいた「ファクト」が生活者に伝わることで企業魅力度が向上すると考えます。

では、企業の「魅力」とは何を指すのでしょうか。「魅力」の他にも、「レピュテーション」や「ブランド」など、企業の価値を指し示す言葉はさまざまです。

企業広報戦略研究所 副所長の阪井によると、『「レピュテーション」は評判や風評と訳されるとおり、第三者による評価。「ブランド」は、競合他社と差別化するための名称、シンボル、デザインと定義(米国マーケティング協会)されるように、消費者などターゲットに抱いてほしい印象(イメージ)だと考えている。一方、「魅力」とは、惹きつける力であり、「魅力を磨きあげる」という言葉に代表されるように、当事者に内在する力。「実力」や「ファクト」とも言い換えられる』と言います。

すなわち、「魅力」と「レピュテーション」、「ブランド」では、視座の違いがありますが、これらの本質は基本的には同じだと考えます。企業の“ありたき姿”、すなわち企業の基本価値とビジョンをきちんと明確にし、社内で共有し、社外ステークホルダーにも浸透させる活動がその根源にあるといえるでしょう。“ありたき姿”そのものが「魅力」であり、それを分かりやすい形にして訴求しイメージ形成をはかるのがブランディングであり、訴求した情報によって外部ステークホルダーから得られる評判をマネジメントすることがレピュテーション・マネジメントにあたるわけです。

“ありたき姿”=企業の基本価値とビジョンは、あらゆるPR活動のコアにあるべき考え方といえるでしょう。

 

企業魅力度に寄与するファクト1位は人的魅力「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」

企業魅力度を向上させるにあたって、企業の掲げるビジョンの重要性は、企業広報戦略研究所が調査した結果からも明らかになりました。

この調査は、一般生活者が企業の魅力度を決定する要因として、どのようなファクトが重視されているのかを明らかにすることを目的に『第1回企業魅力度調査』として実施したもので、2016年6月に発表しました。

この結果、「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」という「人的魅力」が50.5%で1位となりました。

図1

※『第1回企業魅力度調査』概要:

企業の魅力を構成する3要素(「人的魅力」「会社的魅力」「商品的魅力」)ごとに重視すべき12項目(計36項目)を定め、調査を実施。
調査対象:  全国の20~69歳の男女それぞれ各業種1,000人ずつ 計10,000人
調査方法:  インターネット
調査期間:  2016年3月24日~3月29日
設問内容: 魅力を感じる業種/魅力を感じる企業/魅力を感じるきっかけ/魅力を感じた要素/魅力を感じた要素の情報経路

すなわち、企業の魅力を感じる最も重要なファクトは、企業の “ビジョン”であるといえます。魅力的な商品・サービスを提供し、収益をあげることはもちろん重要ですが、『企業魅力度』という観点からは収益や商品・サービス以上に、ビジョンが重視されていると考えられます。

 

企業魅力度の高い企業は“ありたき姿”を一貫して訴求している

実際に、この調査結果で企業魅力度が高いと評価された企業のコミュニケーション活動を分析してみると、ほとんどの企業が、企業のビジョンを基軸とする“ありたき姿”を一貫して訴求していることが明らかになりました。

例えば、大手精密化学メーカーでは、「技術」を基本価値に、生活者に提供したいと考える価値を明確に打ち出しています。広告やオウンドメディアでも技術者にフォーカスし、「技術」に関するファクトを掘り下げて発信しています。さらに、トップメッセージでも、一貫して「技術」を訴求しています。これによって、企業の持つ基本価値と今後向かおうとしている事業の方向性(ビジョン)が明確になり、生活者にとって魅力として伝わっています。

また、大手自動車メーカーでは、注目される新事業領域に積極的に投資することをトップメッセージとして打ち出し、そのための組織体制も整えるとともに、具体的な戦略を打ち立てています。さらに、事業戦略に関する記者説明会を実施するなど、生活者に分かりやすく伝えることで、未来の事業領域を牽引する企業としての魅力を伝えています。

もちろん、“ありたき姿”の一貫した訴求には、トップのカリスマ性やリーダーシップなど、トップの資質によるところが大きいことも事実です。しかし、トップの個性が際立つ企業でなくても、コーポレートPRからマーケティングPRまで、オウンドからペイド、アーンドメディアまで、“ありたき姿”を重視し、戦略的にコミュニケーションを行っている企業は、一般生活者にそれが魅力として伝わっていると考えられます。

 

企業魅力度向上に向けた“ありたき姿”3つのプロセス

このように、調査結果からも“ありたき姿”を明確にすることの重要性が明らかになりましたが、この“ありたき姿”は、キャッチフレーズのようにしてできるものではありません。企業の基本価値とビジョンを的確に見極め、明文化され、共有され、さらに「ファクト」を伴っていることが非常に重要です。

そのためのプロセスは大きく3つあると考えます。3つのプロセス

プロセス① 自社への理解を深める

・経営層および社員の意識を理解する
・社外からの見え方と社内の認識のギャップを把握する
・社の基本価値とビジョンを再確認する
⇒ポイント:トップの考えはもちろん、現場の思いや考えをきちんとくみ取ること、メディアや社会の声をきちんと聞くことで、真の基本価値をあぶり出すことができます。

プロセス② 「ファクト」をつくる

・社内外が共感できる“ありたき姿”をステートメントにして明文化する
・コンセプトブックやメッセージ動画等を制作し“ありたき姿”を社内で共有する
・ビジョンを裏付けるデータの構築や新規プロジェクト、組織の立ち上げ等により、“ありたき姿”を実態化する
⇒ポイント:社員が共感でき、ステークホルダーが納得できる“ありたき姿”を可視化し、共有し、行動することで、企業が一枚岩になってさまざまな活動を展開できるようになります。

プロセス③ ステークホルダーに伝える
・“ありたき姿”を表現するキーワードを設定し、ファクトと共に社外に訴求する
・“ありたき姿”を体現するスポークスパーソンを設定し、一貫して社外に発信する
・発信した結果を社内にフィードバックする
⇒ポイント:あらゆるコミュニケーションにおいて、“ありたき姿”に沿ったファクトを抽出し、PRストーリーを展開することで、“ありたき姿”を明確に掲げたリーディングカンパニーとしての印象付けが可能になります。

企業の“ありたき姿”は普遍的でありながらも時代と共に、また企業の成長と共に、進化していくものです。短期的には経営戦略や事業方針によっても微修正を加える必要もあります。

電通PRでは、企業広報戦略研究所が開発した『企業魅力度モデル』などを活用しながら、PRの専門家としての視点で、企業の“ありたき姿”の明確化、“ありたき姿”と関連付いたファクトの抽出・創造、PRストーリーの構築、“ありたき姿”の実現に向けたコミュニケーション活動の展開など、あらゆるPR活動のサポートを行っています。