企業広報戦略研究所 C.S.I Corporate communication Strategic studies Institute

ニュース&トピックス

調査から見る日本企業の広報力2016 Vol.3 戦略構築力

『経済広報』2016年11月号より

印刷

SHARE

  • Facebook
  • Twitter
  • Tumblr
  • Linked In
  • Mail

CSI Topics

『経済広報』(2016年11月号)に企業広報戦略研究所の萬石主任研究員の寄稿記事が掲載されました。

PDFでご覧になりたい方はこちらから


 

広報の“核”となる「戦略構築力」

第3回となる今回は、「戦略構築力」について取り上げる。「戦略構築力」とは、「経営課題に対応する広報戦略の構築と、ステークホルダー別の目標管理、見直しを組織的に実行する能力」のことである。

前号で取り上げた「情報収集力」が広報の土台であるのに対し、戦略構築力は広報の核といえる。昨年発刊した拙著『戦略思考の広報マネジメント』(日経BPコンサルティング)で、広報とは経営だ、と述べさせていただいたが、戦略構築力において研究者、メディア、広報実務家という専門家に重視されたのは、1位「広報戦略は、経営戦略とリンクしている」、2位「中・長期的広報戦略・広報計画を作成している」と、主に経営にリンクする項目となった。すぐに効果が得られる広告・宣伝活動に比べ、効果を得るのに時間がかかる広報活動では、経営にリンクした中・長期的な広報戦略が必要。組織内でないがしろにされがちな広報部門だが、実は経営戦略と直結する非常に重要な機能なのだ。では、どうすれば戦略構築力は高められるのだろうか。

重要度が高まる広報活動の戦略性

グラフ

 

 

広報の戦略構築力を高めるためには、前号で取り上げた「情報収集力」と、収集した情報に基づいて自社の経営課題・広報課題を洞察し、組織的に共有する「情報分析力」の2つの能力が重要になる。それらを活用し、SWOT分析などで、自社の強みや弱みを把握した上で、広報戦略を立案しなければならない。広報戦略の立案には、経営戦略の立案と同様のアプローチが有効となるため、SWOT分析以外にもPEST分析(注)のフレームワークを活用するのもよい。様々なフレームワークを駆使し、自社の業界におけるポジショニングを明確にし、経営戦略とリンクして、どのようなメッセージを、どのようなターゲットに発信するのか、つまり、誰に何を伝えるのかを明確にした広報活動を展開していくことが求められる。その上で、一度限りの広報活動に終わらせず、ステークホルダー別に適切な目標を設定して、定期的に達成状況を確認し、必要に応じて修正していくことで継続的で戦略的な広報が実行できるのである。
広報責任者は、経営とリンクした戦略を持って、広報活動ができているだろうか。戦略のない広報は、一時的には効果を得られることがあったとして
も、継続的に効果を出し続けることはできない。「今後強化したい活動」として、該当する取り組みが上位に選ばれるなど注目が集まっている「戦略構築力」(図参照)。

企業活動や市場環境が複雑化し広告・宣伝活動の効果が得られにくくなる今こそ、戦略的な広報の“核”となる「戦略構築力」がますます重要になるだろう。

 

※(注):PEST分析: Politics(政治)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という企業を取り巻く4つのマクロな外部環境を分析するフレームワーク

筆者

 

萬石プロフィール

萬石 隼斗(まんごく はやと)

株式会社電通パブリックリレーションズ  コーポレートコミュニケーション戦略部/企業広報戦略研究所 主任研究員