企業広報戦略研究所 C.S.I Corporate communication Strategic studies Institute

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調査から見る日本企業の広報力2016 Vol.7 戦略なき広報に「未来」はない

『経済広報』2017年3月号より

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『経済広報』(2017年3月号)に企業広報戦略研究所の阪井副所長の寄稿記事が掲載されました。

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メディアは重要ではない?

当研究所で2年ごとに実施している「企業広報力調査」を題材に続けてきた本連載も今回で最終回となる。調査に回答いただけた533社に改めて感謝を申し上げたい。もし回答をしそびれた企業があれば、企業広報戦略研究所のサイトで簡易診断が可能なので試していただければ幸いである。
最終回は、2016年調査結果の総括と「広報の未来」についてまとめてみたい。
まず、今回の調査から見る企業の広報活動の変化ポイントについて。
・ 広報ターゲットとして「メディア」が4位に下がり、「従業員」「地域社会」の重要度が上昇(連載vol.5)。
・ 重要テーマとして「社内活性化」「危機管理」「CSR(企業の社会的責任)」が急上昇(vol.5)。
・ コンテンツ消費時代において「情報創造力」の重要性がさらに高まってきた(vol.4)。
・ 最も伸びた活動は「自社に影響を及ぼす法規制や行政の動向について、継続的に把握している」(前回調査比+10.4ポイント)(vol.6)。
・ そして、今後、未来に向けて広報責任者が最も注力していきたい活動が「広報戦略」であるということ(図1)。

図7

メディアリレーションズから パブリックリレーションズへの進化

調査結果を一言でまとめれば、「メディアリレーションズからパブリックリレーションズへの進化」であると捉えている。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が全世代に広く普及し、あらゆるステークホルダーが個々に意思表明を行い、発信力の強い個人はマスメディアをもしのぐ“インフルエンス”力を発揮し始めている。従来の新聞・テレビといった媒介者(メディア)を主な対象としてきた「広報活動」が、パブリックを対象としたリレーション活動に進化している。こうした流れは今後もさらに加速していくだろう。
しかし、企業のリソースは限られている。マスメディアのみならず、多様なステークホルダーを対象としたリレーション活動をまんべんなく展開していく余力は、よほど体力のある企業でなければ難しい。そこで、重要となってくるのが「広報戦略」である。我々は広報戦略を「広報目標達成に向けたシナリオ」であると捉えている。誰に、どのように思われたいのかといった「広報目標」を明確にすることが広報戦略立案の第一歩である。この目標が明確であれば、ステークホルダーの優先順位付けがしやすくなり、限られたリソースを戦略的に割り振ることが可能となる。

 

戦略なき広報に「未来」はない

「広報目標」を立てるための指標となるのが中期経営計画などの経営戦略だ。今回の調査結果では「中・長期的な広報戦略・広報計画を作成している」
企業はわずか28.1%にとどまった。3分の2以上の企業が、戦略・目標がないまま広報活動をしている可能性がある。経営戦略と密な連携を図ることが、より良い「広報」の未来に繋がっていくと確信している。当研究所では広報・PRの発展に寄与する研究を、産学連携で今後も続けていきたい。

筆者

阪井 完二(さかい かんじ)

株式会社電通パブリックリレーションズ  コーポレートコミュニケーション戦略室 室長/企業広報戦略研究所 副所長

1992年、株式会社電通PRセンター(現・電通パブリックリレーションズ)入社。IT、情報通信、製造業、インフラ事業、自治体、行政、スポーツ団体など様々なジャンルのPR実務/コーポレートコミュニケーション業務に従事。また、各種法規制やレギュレーションの変化に企業経営を適合させるためのイシューマネジメントの計画・実行、内部統制実効性担保やコンプライアンス経営の推進、また、緊急記者会見等のコンサルティング、風評被害対応、レピュテーションマネジメントなどを手がけている。

プロジェクト

日本PR協会「09年 PRアワードグランプリ」最優秀賞、国際PR協会2010 「Golden World Award」コミュニケーション・リサーチ部門最優秀賞受賞。アジアパシフィックPRアワードBusiness-to-Business部門受賞。