PRとは

PRの定義

PRはパブリックリレーションズ(Public Relations)の略語です。時代や地域、人によって様々な定義がされますが、ここでは、2012年にアメリカPR協会(PRSA:Public Relations Society of America)が正式に発表した、現代のPRの定義をご紹介します。

“Public relations is a strategic communication process that builds
mutually
beneficial relationships between organizations and their publics.”

<和訳>

パブリックリレーションズとは、組織と組織をとりまくパブリックの間の、相互に利益のある関係を築く戦略的コミュニケーションのプロセスである。

<注釈>

  1. (1)従来から存在するいくつかの定義にはPRを“経営機能”とするものもありますが、ここではあえて“プロセス”とされています。“経営機能”という言葉は“トップダウン”を示唆するため、PRSAはあえて使わないということに決定しました。
  2. (2)PRSAが考えるPRのターゲットは“パブリック”です。今でも多くのPR会社やPRの実務家が使用する“ステークホルダー(利害保持者)”という言葉は、PRの定義の中で、あえて使われていません。ステークホルダーという言葉を使うことによって、上場企業に限定されたイメージを生み出してしまうこともあるとPRSAのウェブサイトでは書かれています。

また英国のPR業界団体CIPR(Chartered Institute of Public Relations)では、パブリックリレーションズの「パブリック」の定義を以下のように規定しています。

Publics are audiences that are important to the organisation. They include
existing and potential customers, employees and management, investors,
media, government, suppliers,
opinion-formers.

<和訳>

パブリックとは、組織にとって重要なオーディエンスであり、既存・潜在的顧客、従業員、経営者、投資家、メディア、政府、サプライヤー、オピニオン形成者を含む。

PRのターゲットはかならずしもステークホルダーだけではないということです。

広報とPRの違いは?

一般に、PRの同義語として「広報」という言葉を使うことがあります。「広報」を文字どおり解釈すると、広く=社会に対して、報ずる=知らせる、という意味になります。言い換えると、企業や団体が社会に向けて“情報発信する”ことが「広報」であることになります。

これに対し、パブリックリレーションズは、「戦略的コミュニケーションのプロセス」であり、終着点のある一方的な情報発信活動ではないということです。一方的な情報発信である「広報」に対し、双方向のコミュニケーションを「PR」と定義する人もいますが、ソーシャルメディアが普及した現代においては、「双方向」だけではすまされない時代になってきました。コミュニケーションが「マルチディメンショナル」となった今日においては、より複雑化した情報流通において、生活者の声に耳を傾け、必要に応じて計画の軌道修正も行い、スモールPDCAを行う必要があります。そして、組織が一方的にストーリーを伝えていくのではなく、生活者自らストーリーテラーとなって、情報伝達していく仕組みづくりも必要となってきているのです。

PRの仕事とは?

企業や団体には、組織運営上、それぞれ様々な課題、機会があります。そういった課題や機会を正確に、客観的に把握し、組織内外との良好な関係を築きながら目標とする成果を実現するのがPRの仕事です。理想的には以下の手順で行います。ここでご紹介する手順は、国際的なPRアワードの審査のポイントにもなっています(以下の手順が踏まれているかが審査されます。)

状況分析

どのようなPR活動においても、組織や製品・サービスが置かれている状況を把握せず、やみくもに情報を発信すると効果的な成果が期待できません。PR活動を始める前に調査を行い、課題・機会を把握・分析し、誰に向けてコミュニケーション活動を行うのか、またそのターゲットオーディエンスはどのようなプロフィールをもつグループなのかを分析をする必要があります。

目標設定

測定可能な成果目標をたてます。

戦略立案

課題・機会を明確にし、ターゲット設定・分析を行ったら、次は目標達成のための戦略を立案します。ターゲットにどのようなメッセージを、どのようなチャネルを使って届ければよいのかを考えるのです。

戦術

具体的に戦略を実行にうつすためのプランを立てます。情報が溢れかえる時代ですから、ターゲット層に確実にメッセージやストーリーを届け、それに注意をもってもらい、さらには、彼らの理解・同意を得、感情的コネクションを構築し、態度変容をもたらすような戦術を考えます。

成果の分析

PRキャンペーン・プロジェクトはやりっぱなしでは未来につながりません。成果をまとめ、それを分析し、次の活動につなげていくことが、長期的でサステナブルな組織の活動にとって重要となります。PR活動の効果測定を行い、PDCAをまわしていくことは、健全な組織の運営・発展に欠かせない活動です。

ここでいう成果とは、ビジネス上のアウトカム、つまり、ターゲット層の意識変化、態度変容、売上・寄付金の上昇、投票率のアップなどであり、パブリシティの件数やインプレッション(発行部数や視聴者の総数)などのアウトプット、ましてや広告換算などでもありません。また、手段が目的化してしまっているケースもよく見かけますが、イベントの実施やオウンド・メディアの制作自体が目的となってはならず、それはあくまでも手段であるということを認識すべきです。

PR業界では2010年に「効果測定に関するバルセロナ原則」と呼ばれるPRの効果測定に関するスタンダードがまとめられました。国際的なPRの業界アワードでも、審査過程でこの「バルセロナ原則」をベースにして成果を評価します。この原則は、2015年9月に更新され、「バルセロナ原則2.0」として発表されました。

バルセロナ原則2.0にまとめられた7つの原則

Seven Principles

バルセロナ原則2.0にまとめられた7つの原則

  1. 1. Goal Setting and Measurement are Fundamental to Communication and Public Relations
  2. 2. Measuring Communication Outcomes is Recommended Versus Only Measuring Outputs
  3. 3. The Effect on Organizational Performance Can and Should Be Measured Where Possible
  4. 4. Measurement and Evaluation Require Both Qualitative and Quantitative Methods
  5. 5. AVEs are not the Value of Communication
  6. 6. Social Media Can and Should be Measured Consistently with Other Media Channels
  7. 7. Measurement and Evaluation Should be Transparent, Consistent and Valid

<和訳>

  1. 1. ゴールの設定と効果測定はコミュニケーションとPRにとって重要である。
  2. 2. アウトプットだけの測定よりも、むしろコミュニケーションのアウトカムを測定することが推奨される。
  3. 3. 組織のパフォーマンスへの効果は測定可能であり、可能な限り測定すべきである。
  4. 4.量と質を測定・評価すべきである
  5. 5. 広告換算値はコミュニケーションの価値ではない
  6. 6. ソーシャルメディアは他のメディアチャネルとともに測定可能であり、測定すべきである。
  7. 7. 測定および評価は、透明性があり、一貫性があり、有効なものであるべきである。

この「バルセロナ原則」は

AMEC(International Association for Measurement and Evaluation of Communication)
PRCA(Public Relations Consultants Association)
Global Alliance (for public relations and communication management)
ICCO(International Communications Consultancy Organization)
Institute of Public Relations
Public Relations Society of America
AMEC U.S. & Agency Leaders Chapter
など、世界の主要なPRの業界団体によって正式に採用されています。