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イシューとしてのグローバル・エイジングと日本

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これまで日本は、国内の「少子・高齢化」を深刻視しがちだった。しかし、エイジングは日本だけの問題ではなく、グローバルなイシューだ。エイジングは恐らく止まらないし、それが生み出す脅威的な側面を否定できない。しかし、現実を踏まえて、グローバルなコンテクストでとらえていけば、多くのチャンスを見出すこともできる。事実、イノベーションを駆使して、エイジングをビジネスに生かそうとしている企業や団体も増えてきた。今回のグローバル・イシューレポートでは、日本の政治制度や経済・社会などの政策研究の専門家であり、国内外のシンクタンクでの研究経験も豊富な城西国際大学の鈴木教授にレポートを執筆いただいた。

鈴木崇弘
城西国際大学大学院 客員教授

日本のエイジング

日本では、少子化を伴ったエイジングが問題視されはじめて久しい。人口は現在の約1億2740万人から、2050年に向けて1億人を切るといわれる。生産年齢人口は2005年比で2050年には40%マイナスになり、中位数の年齢は実に56歳になると予想される。人口資料集2009(国立社会保障・人口問題研究所)によれば、日本の高齢化比率(65歳以上の人口を全人口で割った率)は、2010年で23.1%、2020年29.3%、2030年31.8%、2050年39.6%である。これは現在、高齢者1人を現役世代3.3人で支えているが、2020年には2.4人、2030年には2.1人、2050年には1.5人で支えることになることを意味する。

このように、日本では、人口減少、エイジングが一層進むと予想される。そして、社会保障や福祉・医療の負担の増大が、社会や財政の負担、特に現役世代や若い世代の負担となり、社会の活力を失わせることへの危機が叫ばれている。

グローバル・エイジング

一方、エイジングは、日本の国内問題であるだけではない。実は、世界の問題=グローバル・イシューなのだ。現代世界は、グローバル・エイジング(世界的な高齢化)という、歴史的にみても人口における革命的事象の入口に立たされているといえる。

世界の総人口は、現在約68億人(2009年7月)で、2050年には90億人を超えると予想される。そこでは65歳以上の人口が、現在の約7%から、2050年には16%(14億人以上)になり、地球上の平均年齢は29歳から38歳になると予測されている。また、2030年までに、アフリカや中近東を除く世界の多くの国々で、高齢化率が7%を超え、「高齢化社会」に突入する(注1)

つまり、世界は、今後半世紀にわたり、この「高齢化人口」革命によって、経済、社会そして政治や人道のあらゆる面において、重大な影響を受けることが確実なのである。その意味でも、このエイジングというイシューが、テロや気候変動、世界の金融や経済の問題と同様に、重要な課題であり、国際的に対処されねばならない問題であるといえる。 

このような問題認識から、たとえば米国のシンクタンク「戦略国際問題研究センター(CSIS)」は、CSISグローバル・エイジング・イニシアティブというビッグ・プロジェクトを1999年に立ち上げた。現在も継続されており、世界的な評価と注目を受けている。

また、米国AARP(旧称:全米退職者協会、http://www.aarp.org/(注2)は、グローバル・エイジング・プログラムを立ち上げ、世界各国の高齢者研究を進めている。同団体は、50歳以上の会員が4,000万人を占める世界最大の高齢者向けNPOである。そのグローバル・エイジング・プログラムでは米国以外の各国の高齢化の事情を調査・研究し、世界各国の高齢化の情報の収集活動(世界の高齢化情報は、
http://www.aarpinternational.org/のAging Everywhereを参照。日本に関しては、http://www.aarpinternational.org/map_country/map_country_show.htm?doc_id=545777を参照)を行い、比較研究をしている。特に日本への関心は高い。