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カンヌリポート ~PRライオンズの審査員室から~ (2)

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カンヌライオンズ 審査プロセス①


電通パブリックリレーションズ 

第2ディレクション局次長 井口 理


さて、PRカテゴリの審査基準は、①Strategy & Research:30%、②Execution:20%、③Idea & Originality:20%、④Result:30%と前回申し上げました。課題発見~戦略策定、施策の検討、アイデア、結果といった一連の流れがきちんとあるのかどうかを見極め、初日には審査員全員がどういった評価をするべきか、という意見をそれぞれ発表していきます。これを審査委員長が方針としてまとめるのですが、今回の評価方針は、「Change Mind」「Change Behavior」および「Engagement」というもの。各エントリーの活動成果(Result)には、ほぼメディアカバレッジやSNSでのインプレッション数などが大々的に主張されていますが、そういうものではなく、いかに生活者の意識変化/態度変容をもたらしたか、その結果、生活者のブランド・エンゲージメントがいかに構築・強化されたかがポイントだということ。この評価方針は、審査員全員が共感、共有できるものだったと思います。


では、次に審査のプロセスについて説明しましょう。国内での事前審査は、今年のPRカテゴリへの全エントリー1,130件のうち、300件程度を3日間で評価しました。英語ではありますが、ビデオやプレゼンテーションボード、さらにエントリーのサマリーをすべて読むことができますので、内容的にはほぼ理解した状態で点数を付けることができます。もちろん、社会背景が不明であればインターネットで検索したりして、この国は現在こういう経済状況なのか、あるいはこういった生活者の悩みがあるのか、といった補足情報も入手できます。なので、この審査段階が一番深く、個々のエントリーを見ていることになるかもしれません。


ところで、まだカンヌライオンズにエントリーしたことのないかたのために、エントリーサマリーの構成をここに記しておきます。エントリーサマリーは英語で900ワード以内。このワード数は他の業界アワードに比べ少なく、重要な内容をもらさず盛り込む作業には技術を要します。構成内容は、


     (1)全体の概要(250ワード以内)

     (2)状況説明(100ワード以内)

     (3)目標(100ワード以内)

     (4)戦略(150ワード以内)

     (5)実施内容(150ワード以内)

     (6)成果(150ワード以内)


となります。成果部分は“有形・実体のある(tangible) かつ、数値で表せるもの(quantifiable)”を記すよう指示がありますので、具体的な数値を示さねばなりません。


次に現地でのグループ審査です。余談ではありますが、PRカテゴリはフェスティバル開催の2日目にもう授賞式がありますので、開催の5日前から現地入りし、審査員同士の懇親ディナーを皮切りに5日間の審査過程に入ります。逆を言えば、一番初めの授賞式が終わるとフリータイムということ。もちろん勉強のために各セミナーを回ったり、他カテゴリのエントリーを細かくチェックしたりで時間はあっという間に過ぎていきますが……。


えー、寄り道から戻ります。グループ審査は、5日間の審査のうち最初の3日間。今回、PRカテゴリの審査員は20人+審査委員長1人。審査員20人が、5人×4グループに分けられ、1日100件程度のエントリを評価していきます。ここでは、出身国もなるべくバラバラになるようにグループ分けされ、エントリー作品に対する地域的な情報を補完し合いながら議論し、点数を付けていきます。この議論の時、各審査員の考え方の違いというものが浮き彫りになってきます。


「自分はこのエントリーのここを評価したい」「いやいや、それは我々の国では当たり前のことだ。なにも新しくない」「いやこの国でこれをやるには相当な技術がいるよ」「それよりも、そもそもこのエントリーはPRなのかな」などなど。やはりPRの理解は人それぞれの部分もありますし、非常に奥深いなと感じる瞬間でもありました。続きは次回!


次号は「カンヌライオンズ 審査プロセス②」です。