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カンヌリポート ~PRライオンズの審査員室から~ (3)

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カンヌライオンズ 審査プロセス②


電通パブリックリレーションズ

第2ディレクション局次長 井口 理


現地のグループ審査は3日間。国内での事前審査の点数と合わせて、4日目にはショートリストというアワード一歩手前の候補が並びます。その数、129点。全体の1,130点から見ると約1割といったところです。今度はこの129エントリーを21人全員で見ていき、評価の点数を入れます。この段階では、さらに先の4つの基準、①Strategy & Research、②Execution、③Idea & Originality、④Result それぞれに1~9点の点数を付けていきます。もうね、慌ただしいですよ、こうなると。


この時点で点数の意味合いも変わってきています。1~3点はショートリスト止まり、4~6点はアワードの可能性あり、7~9点がアワード足るべし、というもの。全員が点数を入れて、その平均点を割り出し、最終日のアワード決定のベースとします。また、議論の最後ではショートリストにふさわしくないと思うものがあれば、個々の審査員が挙手し、再度審査員全員でそのエントリーをはずすか残すか検討します。さらに、ショートリストに漏れていたものの、これだけはもう一度議論しようよ、という作品を審査員特権(Jury Privilege)で、再審議させることができます。まさに敗者復活戦ですね。


私ももちろん国内での事前審査で気になっていた日本のエントリーを推挙し、ショートリストに戻すことができました(これは後にブロンズまで獲得します。そんなこともあるんですね)。但し、これらも多数決で決議されるため、委員長を除く全体の2/3、すなわちここでは13人が挙手しないと否決されてしまいます。ここでは、5作品が復活し、元の129作品に加えられ、ショートリストの最終は134エントリーとなったというわけです。


上の写真はPRライオンズの審査員室の写真です。ポーランド人(左)とオーストラリア人(右)の審査員がプレゼンテーションボードと呼ばれるストーリーボードを手にもっています。このボードは、提出が義務づけられており、キービジュアルと100ワード以下でキャンペーンの概要を入れるよう指示があります。


下の写真はノルウェー人の審査員(左奥)、ブラジル人審査員(左手前)、ベルギー人審査員(手前)が2分のビデオを見ているところです。事前審査で触れていないエントリーについては情報が不足しますので、エントリー国に近いエリアの審査員に補完情報などを聞きながら、議論をし、点数を付けて行きます。
































またまたここで余談ではありますが、日本の審査員である私ですが、自社のエントリーや、自身が所属するネットワークグループからのエントリーに関しては点数を入れることができません。また自国のエントリーに投票すると甘くなる(Patriotic voting)ため、それも許されません。審査プロセス上は点数を入れているのですが、これは自動的に却下されるのです。そもそも、カンヌライオンズでは、審査の公平を期するため、提出するエントリーサマリーやプレゼンテーションボードにエージェンシーの名前やロゴを入れることが禁止されています。


また、結託してあるエントリーの評価を高めようとすることもできません。他の審査員に比べて、あまりに高い点数を入れたりなどすれば、それが検出されることになっているのです。なので、審査員は、自身の信義に基づき、誇りを持って評価をしなければならないのです。


さて、次回はいよいよ審査最終日、アワード決定のプロセスについてご紹介しますよー。


次号は「カンヌライオンズ 審査プロセス③」です。