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カンヌリポート ~PRライオンズの審査員室から~ (4)

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カンヌライオンズ 審査プロセス③


電通パブリックリレーションズ

第2ディレクション局次長 井口 理


はてさて、審査も最終日を迎えました。いよいよアワード受賞作を決めていきます。

実はPRカテゴリ内もエントリーはさらに細分化されています。Aグループが業種別、Bグループがメインの手法別、そしてCグループがインテグレーテッドキャンペーンやインターナショナルキャンペーンです。そのグループごとにエントリー作品が割り振られ、前日までの審査による平均点順に並べられます。通常、これまでのやり方では、まずゴールドを決め、その後シルバー、ブロンズと決めていくやり方らしいのですが、あれもいい、これもいいとやっていくと、最初の基準設定が甘くなりそうだ、という意見が出されたため、エントリー作各々がブロンズに値するか、ではシルバーは?ゴールドは?と見ていくことにしました。


上の写真は5人1組のグループに分かれた審査員が、現地で二次審査を行っているところです。審査委員長は各チームを回って意見を聴取し、また疑問が出ていれば方向性を指示していきます。毎日グループの組み合わせが変わり、各エリアからのエントリーに関して、その地域出身の審査員が周辺状況を解説する役割ももたされます。


去年のアワード獲得の平均点を参照しつつ、ブロンズ以上の起点を5点以上として討議しました。実際のショートリストは、下は4点台、上は7点台というレンジで上がってきていたので、この辺りから始めよう、となりました。前回も書きましたが、20人の審査員の2/3以上、すなわち13人が手を上げないと承認されません。委員長が、ひとつひとつのエントリーを簡単に説明し直し、「ブロンズだと思う人、手を挙げてー」「じゃ、そのままシルバーだと思う人はー?」と進行していきます。ちょっと小学生時代を思い出すようなシチュエーション。ここはみんな楽しみながらも、若干の駆け引きも生まれます。


承認に全然数が足りなければ仕方がありませんが、3人、4人の不足だと、そのエントリーを推挙する人が説得を始めます。「これの本当の価値はこういうことなんだ」「そっちの国にもそういう問題はあるだろ?」みたいな。最後の1人が足りない時なんかは「カモーン、イッツグレートワーク!」なんて感じで誘い込みます。また、こういったライン上のエントリーについては審査委員長にも1票の権利が生まれ、それによってゴールドまで行った作品もいくつかあります。ちなみに今回のゴールド獲得は21作品。ざっと見るとやはり社会課題に対して何かしらのムーブメントを仕掛け、それを解決したもの、あるいは解決に近付けたものが多かったですね。女性に不利な法律を変えさせた、疾病啓発で生活者の意識づけに成功したなど、大きな成果(Result)を残しているものが多数あります。また、やはりPR=Public Relationsという観点から、社会的な意義を持つエントリーには自然と高い点数が入った気もします。もちろん、強いアイデアのエントリーも残ってはいますが。


そして、ほぼ全ての賞が決まった後、各人がグランプリにふさわしいと思う候補を3つ紙に書き投票します。そして投票の多い作品の上位3点から、最終的にグランプリを選び出します。ここでもそれぞれの審査員が思うことを話し、挙手によって採決を取ります。どれも素晴らしいアイデアと、施策の緻密さに富んだエントリーなので、意見が割れるというよりは、どれもいいよね、という感想。でも最後はやはり、評価基準とした「Change mind」「Change behavior」「Engagement」がいかに大きく達成されたか、がポイントになりました。そう、グランプリはプエルトリコの国民性の変革に挑んだ「The Most Popular Song」。この作品の解説は次回以降とさせていただきますね。



次号は「受賞作品の紹介  ①社会的課題に取り組んだもの」です。