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勝利演説に見るオバマ大統領の比類なきパブリックスピーキング力

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電通パブリックリレーションズ
コミュニケーションデザイン局
シニアコンサルタント
岡本純子

接戦のアメリカ大統領選は、オバマ氏が激戦州の多くを制し、勝利を収めました。オバマ氏の再選には数多の理由があると思いますが、有権者の根強い支持を集める大きな要因として、彼の優れた「パブリックスピーキング力」を挙げる声は少なくありません。

パブリックスピーキングとは文字通り、パブリック、つまり大勢の聴衆の前で話すことですが、単に情報を伝えるのではなく、入念に準備し、計算されつくした方法で話していくことで、聴衆を魅了し、動かし、影響を与える手法を指します。オバマ大統領はまさにこのパブリックスピーキングの天才といっても過言ではありません。

すべての人の心に希望を抱かせる

今回の勝利演説で、オバマ氏が最も強く訴えたかったのは、国民に将来に対する希望を持ってほしい、ということだったのではないかと感じました。演説の中で彼は11回、hope (希望)と言う言葉を繰り返しました。forward (前へ)という言葉も9回使っています。

And I ask you to sustain that hope. I’m not talking about blind optimism, the kind of hope that just ignores the enormity of the tasks ahead or the roadblocks that stand in our path. I’m not talking about the wishful idealism that allows us to just sit on the sidelines or shirk from a fight.

I have always believed that hope is that stubborn thing inside us that insists, despite all the evidence to the contrary, that something better awaits us so long as we have the courage to keep reaching, to keep working, to keep fighting.

私はあなた方に希望を持ち続けてほしいと願います。それは盲目的な楽観主義ということではありません。我々の前に立ちはだかる障害や課題の困難さに目をつぶって抱く希望ということでもありません。ただ座して、戦うことから逃げることを許すような希望観測的な理想主義のことでもありません。

希望というものは、たとえ、どんなに現実が厳しくとも、我々がそこに到達しよう、何とかやってやろう、戦い続けようとする限り、必ず、より良いことがおきるんだ、と言い続けるような、そんなかたくななものだと私は信じてきました。

オバマ氏は、根拠のない楽観論を振りかざすのではなく、「状況は厳しいけれど、みんなが力を合わせて戦い続ければ、道は開ける」。そういった趣旨の言葉を繰り返したのです。

そして、堂々と謳い上げました。

We know in our hearts that for the United States of America, the best is yet to come.

我々は心の中でわかっている。アメリカにとって最高の時はこれからやってくる。

こうした“希望”というレトリックを使う話法はウィンストン・チャーチルや、マーチン・ルーサー・キング、ジョン・F・ケネディが得意とするところでした。

暗く沈鬱とした時代にあって、せめて、リーダーの口からは人々を勇気づけ、励まし、背中を押してくれるメッセージを聞きたいものです。オバマ氏の批判に終始したロムニー氏にはこうしたレトリックが欠けていたのかもしれません。