PR最新事情

中国のモーターショー事情とメディア対応

~部品メーカーがいかにして中国メディアの注目をひきつけるか~

印刷

SHARE

  • Facebook
  • Twitter
  • Tumblr
  • Linked In
  • Mail

PR Trend

コミュニケーションデザイン局
グローバルコミュニケーション部
小野一宏

中国重視が鮮明だった上海国際モーターショー

上海市の上海新国際博覧中心で行われた「第15回上海国際モーターショー」が4月29日に閉幕しました。4月21日からの9日間(※20日のプレスデーを含まない)の来場者数はのべ81.3万人となり、主催者側の来場者見込み80万人を突破する盛況ぶりでした。今回のテーマは「イノベーション より良い生活」。展示面積は28万平方メートルを超える中国最大のモーターショーです。例年多数のメーカーが出展しており、今回は18の国と地域から約2,000社が出展しました。この出展社数は「世界5大モーターショー」に含まれる東京モーターショーの10倍以上となります。また、東京には参加しない米自動車大手3社もこの上海国際モーターショーには参加してくるほど、その重要性は増しています。今年は111台の新車種が世界で初披露されました。

世界最大の自動車市場である中国でブランド価値を高め、消費者や企業顧客からよりよいレピュテーションを獲得するために、出展メーカーはさまざまな手法を用いて中国メディアや一般消費者の興味をひきつけようとします。

その中で顕著なのは中国各メーカーとも市場向け戦略車、つまり中国市場のためだけに造られた中国仕様車を全面に押し出していることです。一般車はもとより、高級車、SUV、コンパクトカーなどあらゆるタイプにおいて、「中国専用モデル」をアピールしています。

「中国向け」というメッセージは、実は日系・外資系企業の中国PR活動で重要になってきます。中国メディアにとって興味があることは、「全世界の中でいかに中国市場を重視しているか」「海外の人気製品が、いつから中国で販売されるのか」という点です。各社は中国専用に特別に商品を開発し、更にコミュニケーションにおいても本国や現地社長自ら「中国重視」とスピーチすることで、好意的な記事を獲得しようとします。

その他、このような大規模展示会でいかに中国メディアに取材してもらうか。弊社が今回のモーターショーで支援した部品メーカーの広報活動も含めて、ポイントを整理してみました。

中国でのメディアリレーションズのポイント

①完成原稿に近いリリースの提供
リリースに対する考え方は日本メディアと異なります。日本では、記者が独自の視点で取材し、記事を書くためのいわば「材料」という位置づけでリリースを作成します。一方、中国では完成原稿に近いプレスリリースが好まれ、ほぼそのまま掲載されることもあります。特にWEBニュースサイトではその傾向が顕著です。

②記者が取材しやすいスケジューリング  モーターショーを取材する記者にとって、世界的に有名な車体メーカーを取材することが最も重要です。そのためメディアだけが取材できるプレスデーは、次から次へと各社が主催する記者発表会に参加し、取材します。その中で意中のメディアに取材をしてもらうためには、重用視するメディアを絞り、かつ集中する時間を避け、モーターショーの会場では提供できないことを準備する必要があります。

③単独ではなく、共同インタビュー
そのひとつが共同インタビューです。日本や欧米メディアは、他紙が掴んでいない情報を得たり、より深い情報を得るため、1社独占インタビューを好みます。一方、中国では同地域のライバルであるメディアでなければ、5~10社が共同でインタビューすることを厭いません。内容にもよりますが、新聞やテレビでさえ取材後数週間経って掲載、報道されることもあります。これはニュースの鮮度や速報性に対するスタンスが統一されていないためです。

特に部品メーカーなどは、莫大な広告・PR予算を持つ世界の車体メーカーと競い、限られた取材時間で中国メディアを自社ブースや会見場に招致するため、いかにメディアが取材しやすい環境をつくり、記事を書きやすい整理された情報を提供できるかが重要になってきます。中国での広報・PR活動においては、とかく記者との個人的な友好関係がクローズアップされますが、広報活動の基本である「メディアの立場にたった情報提供」も重要になります。

さらに広報・PR活動に積極的な企業は、モーターショー開催前に中国メディアを日本の工場や研究開発センターに招致し、先進性、技術力、安全性をアピールする「技術広報」も活発に行っています。

日本メディアの取材方法

上海モーターショーにはもちろん、上海に支社がある日系新聞社・テレビ局も取材に訪れます。そこでの取材内容を日本の編集部に送り、世界各国から配信されてくるニュースと比べ価値があれば記事になります。そのためよほどのニュースでない限り、国際情勢や日本に影響を与える外交・経済政策などが優先され、モーターショーで発表される1企業の、特に部品メーカーのニュースが全国紙やテレビで報道されることはまれです。

北京、上海だけでない地方都市でのモーターショーにおける広報・PR活動

ある中国メディアによると、2012年に中国全土で200回以上モーターショーが開催されたとのことです。この後、6月には深圳、重慶、鄭州でモーターショーが開催されます。その場合、それぞれ地方都市ごとの広報、PR活動が必要になってきます。弊社は中国全土23カ所に拠点を持つ親会社藍色光標(ブルーフォーカス社)のネットワークを活用し、地方の特徴に合わせた広報・PR活動をご支援させて頂きます。

       ※写真は上海市国际展览有限公司提供。


筆者 小野一宏プロフィール

2006年電通PRに入社。2008年の北京オリンピック関係の広報活動プロジェクトをきっかけに、上海万博観光客誘致、日系ファッション・ブランドの上海初進出、中国地方都市での日系小売業新店舗PRなど、中国における多数のPR提案、実施を手がける。