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CSRコミュニケーション情報レポート:Vol.2

社会的課題(イシュー)を解決するために~第三者組織による枠組みづくり

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コミュニケーションデザイン局 シニアコンサルタント 大川陽子

1.社会的課題解決に向けた視点を持つために

前回のレポートでは『CSR推進にあたって重要となるのは、ステークホルダーとの関係づくりであり、社会のなかで企業はどのように位置づけられるか、社会的課題(イシュー)をどうとらえ、ステークホルダーとの関係性を踏まえどう対応していくのか、しっかりと明示していかなくてはならない』点をお伝えした。

社会のなかで企業がどう位置づけられるか、そして社会的課題をとらえていくにあたっては、事業活動が社会にあたえる影響(プラス、マイナスとも)を企業内部で把握していくと同時に、外部のステークホルダーとの関係を構築していくことによって、第三者の視点も踏まえて社会で起こっている課題が何かを把握しておく必要がある。社会的課題として浮き上がっているテーマを解決に導く過程において、さまざまな論点で利害が対立してくる場合も想定される。その場合、利害関係者の当事者である企業が直接的に働きかけを行っても、収益との関係の中で、信頼感に疑問をもたれることもあるだろう。そこで、社会的課題の解決という共通の目的をもったさまざまな主体が集まり、情報の受発信や関連する活動の展開等を行うための仕組みづくりがポイントとなってくる。その有効な取り組みの一つとなるのが第三者組織による枠組みづくりである。

2. 第三者組織による枠組みづくり

社会的課題解決に取り組む場合、一企業では解決しづらいテーマも多く存在する。ステークホルダーとともに、社会全体で取り組んでいく必要がでてくる。イメージしやすい取り組みの一つに、乳がん啓発活動の象徴であるピンクリボン活動が挙げられる。この活動は、取り組みに賛同している企業やさまざまな主体が集うことができる運営委員会が組成され、事務局を基盤としてさまざまな活動が展開されている。また、昨今注目の社会的課題である超高齢社会への対応やインターネット時代のさまざまなツールの適正活用等も、多様な主体が関わって取り組むべきテーマの一例であろう。また、法制度・税制が関わるテーマである場合、その変更があるタイミングで、さまざまな主体のそれぞれの意見を集約できる第三者組織の枠組みをベースに取り組んでいくことが有効となってくると想定される。もちろん一企業が主体となって社会的課題解決に取り組んでいくことも可能であるが、その場合、組織内に別の枠組みをつくり、プロジェクト単位で取り組むことも一案である。その枠組みがあればメッセージを発信しやすい。独りよがりにならないよう、専門家をはじめステークホルダーとともに運営体制づくりをしていくことが得策である。

組織の枠組みのイメージ

~ 複数企業、複数関連団体が関わって取り組む場合 ~
・ 第三者組織としてベースとなる団体を組成。

組織の枠組みのイメージ1

~ 一企業が主体となって取り組む場合 ~
・ 一企業のなかで内製化した団体や、プロジェクトとして組成。

組織の枠組みのイメージ2

3.第三者組織の形態と特性

組織を組成するにあたっては、さまざまな形態が考えられる。

  • A. 任意団体
  • B. NPO法人
  • C. 一般社団法人
  • D. 一般財団法人

がその例である。
それぞれに組成のプロセスや立ち上げにかかる負担、社会的な信用度等に特性があるため、目的に応じて、どの組織形態がベストかを十分に検討していく必要がある。

第三者組織形態例とその特性(一部)

第三者組織形態例とその特性(一部)

4.第三者組織による展開にあたっての留意点

第三者組織の枠組みを基盤として取り組みを展開するにあたって、まずしっかりと固めておかなくてはならないのは目的と内容である。以下の点に留意して検討していくことが求められる。

  • ・ なぜ、この取り組みを行うのか
  • ・ 目的を果たすべく、組織として語れる一貫したストーリーがあるか
  • ・ さまざまな主体が取り組みに参加しやすい仕組みづくりがなされているか
  • ・ 取り組みは継続性を見据えているか
    (一過性の取り組みではステークホルダーを巻き込むムーブメントにはならない)
  • ・ 透明性は確保されているか
    (諸活動の検討・実施のプロセス等をステークホルダーと共有することで社会性を担保)
  • ・ 取り組みを魅力的に伝えるコミュニケーション施策がなされているか

これらを踏まえたうえで、社会的課題解決につながる取り組みを企業として模索し、ムーブメントをおこしていくような活動を展開していきたい。

それが、CSR活動という枠組みのみならず、事業活動全てにおけるあらゆるステークホルダーとの良い関係づくり(=パブリックリレーション)に影響をあたえていくことにつながっていく。

筆者 大川陽子プロフィール

(株)電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局シニアコンサルタント。

日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。

非鉄金属メーカーの環境関連部門、企業の環境対応等推進するNPO、
コンサルティング会社(社会・環境問題をテーマとした官公庁、自治体、
企業コンサルティング)を経て電通PR入社。CSRをテーマとしたコミュニケーション支援
に関する企画運営、コンサルティングを担当。