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CSRコミュニケーション情報レポート:Vol.5

CSVをカタチに~社会課題に近づくには?

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コミュニケーションデザイン局 シニアコンサルタント 大川陽子

企業のCSRコミュニケーション活動に関連する様々な取り組みに携わるなかで、やはりここ数年はCSV(Creating Shared Value)の考え方を意識する場面が多い。そして、直面するのは、具体的に価値をどのように創出していけばいいのか、ということ。CSVは社会課題への対応と事業活動との関連性によって価値を生み出す取り組みであることをふまえ、まず社会課題の抽出について考えてみたい。

1.社会課題に対する感度を持つ。

企業と社会との関わりを改めて振り返ってみると、必ず経済的責任と社会的責任という2つの要素が関わってきたといえる。例えば高度経済成長期には公害問題が発生。コンシューマリズムの動きが消費者と企業の関係性に厳しさを増す。バブル経済の時期には、メセナ(芸術支援活動)や、社会貢献活動の広がりなど、社会との良い関係づくりが進んだとされていた。2014年、今の時代はどうだろう。経済的、社会的に成熟しているか、停滞しているか。グローバル化が加速、自然災害も相まって、様々な社会課題に様々な主体が関わってきており、必ずしも対立や協調といった形に現れない、複雑さがあるように思う。そこで注目されるのが〝共創〟という考え方なのだろう。

ステークホルダーと〝共に価値を創る〟ためには、まずは様々な社会課題に対する感度を高める必要がある。事業活動との関わりを踏まえ、例えば営業拠点や生産現場のある地域に目を向ける。サプライチェーン、バリューチェーンで見た場合に関わってくる主体とその関連地域に目を向ける。社員一人ひとりの業務との関わりのなかで地域との関係性、社会との関係性を改めて考える機会を持つことは非常に重要なことである。さらに重要なのは、関わる地域と主体からの声に耳を傾けること。取引上の関係、地域活動との関係性において、さまざま機会に、改めて事業活動が与えているインパクト(プラス、マイナス)を肌で感じる機会がほしい。

先日、フェアトレードについて考えるワークショップに参加した。フェアトレードと事業活動において直接関わっていない企業も含め、さまざまな企業の担当者が集まる情報交流の場にもなっていた。主催はフェアトレードを推進する特定非営利法人フェアトレード・ラベル・ジャパン。事務局長の中島佳織さんからは、フェアトレードの現状と課題、世界市場での広がり、国内の消費動向等含めワークショップ後にお話を頂いた。今回の企画協力は株式会社NTTデータの総務部 社会貢献推進室。担当の前田京子さんは、『限られたリソースの中で、社員が身近に社会との関わりに気づくきっかけづくりを行いたい』とコメントされていた。グローバル展開に力をいれている会社ならではの発想ともとれる。このような場づくりは、間接的ではあるが、社会課題に対する感度を上げる一つのきっかけとなるだろう。

※(特非)フェアトレード・ラベル・ジャパン ウェブサイト

※(特非)フェアトレード・ラベル・ジャパンfacebook

2.地域、社会との距離を縮める。

社会課題を捉え、感度を高めるには、地域コミュニティ、テーマコミュニティで活動を展開するNPO等民間団体とのコラボレーションが非常に効果的である。既に、さまざまな形で連携を進めている企業も多いかと思うが、改めて事業活動が与えているインパクト(プラス、マイナス)を踏まえつつ、関連する地域等に目を向けた取り組みとして考えてみたい。

地域コミュニティ、テーマコミュニティで活動を展開するNPOは、それぞれの問題意識を持ちつつ、さまざまな社会課題に対して常にアンテナを張っている。そして、その課題を踏まえた取り組みを進めている。そこには、当該コミュニティに集まる人々の声が集約されているといえる。こういった団体との良い関係づくりは、地域、社会との距離を縮め、企業と社会の関係づくりにつながっていく。

次回以降、社会課題を踏まえた具体的な企業とNPO等民間団体とのコラボレーションの取り組みをみていきたい。

以 上

筆者 大川陽子プロフィール

(株)電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局シニアコンサルタント。

日本パブリックリレーションズ協会認定PRプランナー。

非鉄金属メーカーの環境関連部門、企業の環境対応等推進するNPO、
コンサルティング会社(社会・環境問題をテーマとした官公庁、自治体、
企業コンサルティング)を経て電通PR入社。CSRをテーマとしたコミュニケーション支援
に関する企画運営、コンサルティングを担当。