うたかた思考

牧口 征弘

牧口 征弘
(代表取締役社長執行役員)

日々浮かんでは消えていく思いや考え。仕事の糧になるものもあれば、そうでないものも。
どう活かすかは自分次第なのかもしれません。

大相撲に見た希望

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社の広報担当者から、ブログなるものを書いてみたらどうでしょうというお誘いがあったので、してみむとてするなりの第1回です。不定期更新となりますが、お暇つぶし程度にお付き合いいただければと思います。よろしくお願いいたします。

さて、令和2年の大相撲九月場所は、関脇正代(しょうだい)関の初優勝にて幕を閉じました。熊本県出身の力士としては史上初ということで、同郷人としても嬉しい限りです。

堂々たる戦いぶりの見事な優勝でしたが、実は、今場所個人的に注目していたのは別の力士でした。それは、翔猿(とびざる)関。千秋楽の日に正代関と戦い、この日まで優勝の可能性を残していた新入幕力士です。

初日に初めて土俵上で見た時には、「何だか変わったしこ名の力士が出てきたなぁ」程度にしか印象が無かったのですが、日を経るにつれて俄然注目するようになりました。それは何故か。

勝っても負けても、実にすがすがしい。力を尽くして勝利した後の充実の顔つき。惜しくも負けた後であっても、逆に楽しげに見える表情。我々の心を捉えたのは、相撲に向き合う純粋さそのものとも言うべき、翔猿関の戦いざまでした。

しかし、楽日に正代関に敗れた後、翔猿関はそれまでとは全く異なる表情を見せました。単に、悔しいというだけではない、得も言われぬ表情を。それは、いまだ見たことのなかったものを見てきた者の力のこもった目、手の掛かりそうな獲物を取り逃した者のゆがんだ口元、身体全体から発せられる得体の知れない「気」のようなもの。

全てを出し尽くして新たな境地に達した者の姿を目の当たりにして、むしろうらやましさすら感じたのは、私だけではないはずです。日々の暮らし、日々の働きの中で、あれほどまでの充溢(じゅういつ)感に満たされることなどあるだろうかと。

もしかしたら、我々は、そんな身震いするような一瞬のために生きているのかもしれません。少々大げさですけど。

同時に、こういう思いも巡ってきます。今の世の中を良い方向に動かしていくのは、こういった一人一人が積み重ねる一瞬一瞬や、その全体としての集積なのではないかと。そう信じることで、より良い未来を手繰り寄せることができると。

今年もいよいよ終盤。あらゆる点において例年とは異なりますが、皆様の御健勝だけは例年通りでありますように。最後までお読みいただき、ありがとうございました。