うたかた思考

牧口 征弘

牧口 征弘
(代表取締役社長執行役員)

日々浮かんでは消えていく思いや考え。仕事の糧になるものもあれば、そうでないものも。
どう活かすかは自分次第なのかもしれません。

変化か進化か

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 イッセー尾形さんの芸を見始めるようになってから、いったいどれぐらいの年月が過ぎたのだろう。と思い調べてみたら、1980年代の頭からでした。何と、40年近くも前の話です。当時、日本テレビでオンエアされていた「お笑いスター誕生」という番組で、とんねるずやコロッケといった面々の中にあって、断然お気に入りの演者さんでした。

 上京してから初めてイッセーさんの生の舞台を見たときのことは、あまりにうれし過ぎて全く記憶にございません。ただ、テレビを通して見るのと、実際に目の前で演じられる空気ごと感じるのとでは、まるで異なる体験でした。

 初期の傑作で記憶に新しいのは、「ヘイ、タクシー!」「幸せ家族」「JR保線区」、そして伝説の「アトムおじさん」。(全く何の話か分からないかもしれません。ごめんなさい)その独特な一人芝居ワールドはもはや、「芸」の域を超え「芸術」の域に達しています。

確か、バブル崩壊後の一時期。サラリーマンの哀愁的なネタが増えて、見ているこちらも何やらいたたまれないような気持になり、いったん離れました。もしかしたら、イッセーさんご自身が時代の気分を吸収し過ぎたのかもしれません。いや、自分自身が社会にうまく適応できていなかったのかもしれません。

そんな時期もありましたが、気が付いたらまた公演通いをしていました。40年近くにわたってわれわれを魅了し続ける彼のすごみは、その一貫した「変化」ぶりです。「進化」ではありません。デビュー時から既に完成の域にあったため、進化はしないのです。ただひたすらに新しい要素を取り込んで、変化をしていく。だからこそ、限られた舞台空間での一人芝居であっても、常に驚きがあるのです。あ、そういう意味では、「変化」し続ける果てに「進化」があるともいえそうです。前言撤回。

時代は変わっても変わらない「骨格」の部分と、時代に応じて変わり続ける「肉付け」の部分。イッセー尾形というアーティストが時を超えた新鮮さを保ち続ける秘訣は、この辺りにあるのではないでしょうか。

 この10月の最新の公演では、御年68歳にして、おさげ髪の女子高生を演ずるという発想の若々しさ。見習いたいものです。(決して、女装をしたいという意味ではないです)

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。