うたかた思考

牧口 征弘

牧口 征弘
(代表取締役社長執行役員)

日々浮かんでは消えていく思いや考え。仕事の糧になるものもあれば、そうでないものも。
どう活かすかは自分次第なのかもしれません。

余白の効用

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ある書道の大家の先生から、こんな話を聞いたことがあります。

「私の書には、あちこちに余白があります。行と行の間、文字と文字の間、文字の中でも線と線の間。これらの白いところは、墨がのっていないので、余白といいます。余った白、という意味ですね。ただ、私の考えでは、これは余白ではなく要白だと思っています。この白い部分があるからこそ、墨の色が生きてくる。この白い部分の空き具合のバランスが、全体の作品としての緊張感を生む。だから、要らない白ではなく、必要な白、要白なのです」

日々仕事で忙しくしているだけの身には、思いも寄らない発想です。スケジュールがどんどん埋まるに任せ、ほっと一息する暇もない。ゆっくり考える時間が欲しいと思いながら、ついつい目の前の業務に流されがち。そのうち、それが常態になってしまい、白紙の予定表を目にすると逆に不安になってしまう。

そんな人たち、結構身の回りにいると思いませんか? ご自身も含め。

もちろん、ずーっと真っ白のままのスケジュールは、それはそれで別の話ですが、書家の先生の言葉にある「要白」を日常の中に持てるかどうかは、とても大事なことだと思います。そうすることによって、「墨の色」が今まで以上に際立ってくるという意味において。

その方は、書の達人であると同時に、家族を愛し、人生を楽しむ達人でもあります。緊張と弛緩(しかん)の間を行き来し、余白を要白と捉えることによって、芸の道を究める。我々、ビジネスの世界で奔走する身にも、大いに学ぶべき点があります。

この年末年始は、例年とは全く異なる気分で過ごす方が多いとお察しします。そんな時間の中に、ちょっとした「要白」を設けてみてはいかがでしょうか? もちろん、単なる余白でも良いでしょう。いずれにしても、「白」の効用をじっくりと味わってみる、いい機会になるかもしれません。

個人的には、ただダラダラと過ごしたり、せいぜい大きめの掃除をやるだけで、無駄な時間を過ごしてしまいそうな予感大ですけど。

皆様にとって、健康かつ安全な年越しとなりますよう、祈念しつつ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。