うたかた思考

牧口 征弘

牧口 征弘
(代表取締役社長執行役員)

日々浮かんでは消えていく思いや考え。仕事の糧になるものもあれば、そうでないものも。
どう活かすかは自分次第なのかもしれません。

言葉を超えた言葉の力

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 やはり、箱根駅伝については書かずにはいられません。

 今回で97回目を迎えた伝統のレース。お正月の風物詩として欠かすことのできないものです。記憶にも新しいところですが、今回は例年にも増してドラマチックなレース展開で、早くも次回のレースが楽しみで仕方ありません。

 そんな第97回。大本命・青山学院大学のまさかの失速、伏兵(?)創価大学の快走、そして駒澤大学の京橋での大逆転と、見どころ満載な中、個人的に注目していたのは監督車からの声掛けでした。(声なので注目と言うより注耳?)

 緊迫したレースの中、檄(げき)を飛ばして発奮を促したり、褒めて気持ちを盛り上げたり、区間を走り切った選手に感謝の意を伝えたり、場面場面によってさまざまな言葉が聞こえてきました。

 中でも、優勝した駒澤大学の大八木監督。この方の「男だろ!」には、触れざるを得ません。考え方や立場によっては、その表現自体が昭和っぽいとか、ことさら男性性を強調するのはいかがなものかとか、いろんな意見があるかと思います。しかし、この場合全く構わないと思います。何しろ、男しか走っていないわけですし。(ん? でも、女子駅伝で「女だろ!」とは聞かないような気もしますね。)

 実は正直なところ、テレビ中継を見ている最初のうちは、この「男だろ!」にかなりの違和感を抱いていました。今どき何だな、と。興奮気味で語気も荒いし、選手たち大丈夫かな?と。ただ、この声に後押しされた往路の田澤廉君の激走ぶりを見て、次第にこれはありかもしれないと感じるようになりました。

 そして、アンカーの石川拓慎君への「男だろ!」、その後の大逆転からの優勝間際の「やったよ! おまえ、男だ!」へとつながっていくのです。

 そこに見たのは、この「男」という言葉一つで、瞬時につながり合える人間たちの姿。そして、こう感じるに至ったのです。この言葉は、性別の区分という一義的な意味を超えた、選手と監督の間に共有される思いの、信頼関係の象徴なのだと。そう考えてみると、この激励ワードは、非常に即効性のある効率の良いものだともいえます。

 レース後のインタビュー番組で、「あの監督の声掛けには勇気づけられましたか?」と問われたある選手の答えはこうです。「いや、正直、怖さの方が勝っていました」と。直後に、監督以下全員爆笑。いいチームだなと直感できる瞬間でした。

 次回は、やはり、高校サッカーについて書かずにはいられません。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。