うたかた思考

牧口 征弘

牧口 征弘
(代表取締役社長執行役員)

日々浮かんでは消えていく思いや考え。仕事の糧になるものもあれば、そうでないものも。
どう活かすかは自分次第なのかもしれません。

距離と気遣い

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 数年前に仕事で大阪に行っていた時のこと。朝食を買うために、おなじみのコーヒーチェーン店に入りました。レジカウンター前には既に行列が出来ていて、自分の前には若いサラリーマン風の男性と、その前には、ベビーカーを押す若いお母さんが並んでいました。

 この2人が順番を待ちながら、こんな会話をしています。「今幾つぐらいですか?」「あっ、まだ〇カ月なんですよ」「へー、うちも大体同じぐらいの感じですね」「結構、夜泣きとかするでしょ」「まぁ、なかなか大変でね~」

 さすが大阪の人。短い時間に、会話が転がる転がる。東京だとこうはいきません。機嫌の悪そうなお客さんたちが、スマホでもいじりながら黙って待つ。というのが見慣れた風景です。

 しばらくすると、お母さんの順番が来て、「ほな」「じゃあ」みたいな感じで別れ別れになったのですが、何とこの2人、全くの赤の他人でした。てっきり知り合い同士と思わせる距離感だったので、結構ビックリしました。会話の様子から冷静に考えれば分かりそうなものですが、初対面にしては話が盛り上がり過ぎなのもまた事実。ますます、分からなくなってきました。

 「袖すり合うも他生の縁」とは、上方(京都)いろはかるたの中のことわざの一つ。現代では、なかなか実感できなくなってきていることかもしれません。

 それにしても大阪の人たちの距離感の近さ、おそるべし。そう考えると、緊急事態宣言明け後の大阪市中心部はさぞ盛り上がっているに違いない、と思いつつの出張を今回してきました。ところが、拍子抜けするくらいのあっさりとした人出。これまたどうしたことかと不思議に思っていると、会社の先輩いわく、「大阪の人たちはイメージと違って、言うことよく聞くんや」とのこと。

 んー、なるほど。普段の距離感が近いから当然のごとく密な関係性が標準かと思いきや、逆に距離が近いからこそお互いの気遣いが働くということなのでしょうか。かえって首都圏の人たちの方が、よほど「根無し草率」は高く、他者への思いやりが利かない状態にあるのかもしれません。真偽のほどは定かではありませんが。

 物事を手前勝手な思い込みだけで判断してはいけないと、自戒した出来事でした。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。