うたかた思考

牧口 征弘

牧口 征弘
(代表取締役社長執行役員)

日々浮かんでは消えていく思いや考え。仕事の糧になるものもあれば、そうでないものも。
どう活かすかは自分次第なのかもしれません。

不滅の仕事

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 「北の国から」をテレビで放映していると、どうしても見てしまいます。何度も見たことがあるにもかかわらずです。このドラマには、それだけの引き付ける力があり、何度見ても我々の心を揺さぶる力があると思います。

 先日も、田中邦衛さん追悼の趣旨で、「北の国から’87初恋」をやっていました。そしてまた、私は画面にくぎ付けになったわけで…

 (ここから先は、昭和世代の方々以外には全く分からない話になります。あらかじめ御了承ください。)

 タイトルにある通り、黒板純(吉岡秀隆さん)と大里れい(横山めぐみさん)との淡い感情のやり取りがメインのストーリーラインなのですが、それと同時に、父と息子の葛藤という骨太なテーマも並走します。思春期にかかる息子が父親をふがいないと思い、片や父親の方は、自分を第一の相談相手に選んでくれない息子をもどかしく思う。同性の親子関係に潜む、何とも複雑極まる永遠のテーマを内包しています。

 そしてこの「‘87初恋」では、あのあまりにも有名な「泥のついた1万円札」のシーンに触れざるを得ません。一説によると、このシーンで泣くか泣かないかで人間は2種類に分かれる、とまでいわれるほどのテレビドラマ史上屈指の名場面です。

 しかし実は、個人的にこの回の一番のシーンと思っているのは別の箇所です。それは、雪の降り積もった夜の原野で、ぐじぐじした兄(純)に蛍(妹)が放つ激しい一言です。「そういうこと、今、言わないでくれる!」 それまでずーっと、視線の演技で寡黙だった蛍(中嶋朋子さん)が、突然大人の芝居を見せるシーンです。

 子役の成長をドラマの進行とともに見守っていくという、現代のドラマ制作ではほぼあり得ない試みであるこのシリーズを象徴するような場面です。まさに、ドラマの中での子供時代とそれ以後を分ける瞬間だと言ってもいいでしょう。

 という具合に、語り始めればきりがなくなるので、この辺りでおしまいにします。いずれにしましても、我々昭和世代にとって、不朽不滅の名作であることに議論の余地はありません。当時の製作スタッフの皆さん、出演者の皆さん、そして、このドラマの出演者の大黒柱である黒板五郎こと田中邦衛さんに、深い感謝を届けたいと思います。

 黒板家よ永遠に!

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。