うたかた思考

牧口 征弘

牧口 征弘
(代表取締役社長執行役員)

日々浮かんでは消えていく思いや考え。仕事の糧になるものもあれば、そうでないものも。
どう活かすかは自分次第なのかもしれません。

スポーツは誰のものか

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 この一週間、サッカー界の最大の話題といえば、ESL(ヨーロッパ・スーパー・リーグ)構想でしょう。もちろん、東京オリンピックの組み合わせ抽選会もありましたが、話題性ではこちらの方です。

 改めて、ESLの整理をしておきましょう。この構想は、スペインから3、イタリアから3、イングランドから6のクラブチームが参加し、新たなリーグを創設するというもの。実際に成立すれば、既存のチャンピオンズ・リーグに真っ向からぶつかる形となります。

 争点となったのは、上記12チームがいずれも、レアル・マドリード等のビッグ・クラブであること。とはいっても、ドイツやフランスのクラブが早々に不参加意向を表明していたりと、賛否両論の香り満載です。

 背景としては、世界的なパンデミックを受け、各クラブチームの収益状況が激変したことがあります。もはや、既存の枠組みを前提としていてはチームの将来に影が差しかねない、という点においては、各リーグ共通の問題意識かと思います。

 この論争において、頻繁に引き合いに出されたのは、経済原理対文化、という構図です。平たく言うと、金儲けが大事か、地域に根差した歴史的な文脈が大事か、ということです。

 しかし、そんなに単純なことではないとも思います。現代のプロスポーツの世界で、経済原理と無縁というのはあり得ないことです。一方、クラブチームを支えるファンの思いも、大切な資産です。クラブの良好な経営があってこその大好きなチームの存続であるし、ファンの多大な貢献があってこそのクラブの歴史の充実です。双方の絶妙なバランスをどう取るか、が根本的な必要条件となるでしょう。

 そして、今回の新構想に待ったをかけたのは、イングランドのフットボール・ファンたちでした。各クラブチーム側が想定していた以上の激しい拒絶反応に、早々に参加表明を撤回したのです。歴史を重んじるイングランド人気質の威力たるや、恐るべしです。

 今回の件は、これにて一件落着とはいかず、しばらく綱引きが続く可能性は残りますが、この機会に、チームにとって、ファンにとって、スポーツそのものにとって、一体何が大切なのか、何に価値を置けば健全な発展が望めるのか、深く考え直すことも必要なのではないでしょうか。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。