企業広報戦略研究所 C.S.I. Corporate communication Strategic studies Institute

所長挨拶

企業広報戦略研究所は2013年12月に設立しました。広報部門の果たす役割や機能がどのように進化していくべきかを研究するべく、各種調査を実施し客観的なデータに基づき、研究を深めてまいりました。

特に近年、広報の役割は多様性を増し、カバーする領域・ステークホルダーも拡大しています。まさに、広報は経営そのものである、といえるほどに重要性を増しています。
かつて、広報に求められていたのは、メディアを通じた“話題づくり”が中心でした。しかし、メディアの数はますます膨大になり、情報が洪水のようにあふれています。その中で、“話題”は一瞬にして消費されてしまうのも現実です。
さらに、生活者の情報入手経路も変化しています。関心のあるテーマに関しては、生活者自らが積極的に情報を取りに行く、検索行動が当たり前になりました。特に、ソーシャルメディアなどをフルに活用して口コミ・評判を調べる傾向が高まっています。しかしそこには、信頼性の低いまたは疑わしい情報が数多くあることも事実です。

よって、生活者は加工された2次情報よりも、企業・団体自らが発信する一次情報を求める傾向が強まっています。そうしたニーズをくみ取って、企業・団体側もオウンドメディアや統合報告書などによる、情報開示・透明性(トランスペアレンシー)の確保に努められています。さらにメディアを通さないリアルなコミュニケーションによる関係性強化(エンゲージメント)にも、多くの努力をされています。そうした広報活動の結果、企業内部の考え方、信条、働く人々などへの共感が高まり、もっとも重要な“信頼”獲得につながっていくと考えています。

情報が急速に消費される時代、“話題づくり”にとどまることなく、信頼を高めてもらう広報活動を行うことが“価値づくり”に貢献すると考えております。

現在、企業価値の評価軸として高い注目を集めているのが「ESG」です。
当研究所が実施する『魅力度ブランディング調査2019』の結果を見ても、投資経験の有無にかかわらず、「投資を考えるとしたら企業のESGに対する取り組みを考慮するか?」という質問に対して、6割以上が「ESGを考慮する」と回答しました。ダボス会議2020においても、シェアホルダー資本主義から、ステークホルダー資本主義へというアジェンダが注目されました。今後は、株主だけではなく、環境(E)に配慮し、社会(S)の期待に応え、それらを統治(G)する仕組みが創れているかが、企業評価に大きな影響を与えると考えられます。

企業広報戦略研究所では、今後も日本・世界における企業・団体の“価値づくり”とその戦略に資する研究を、経済・業界団体、企業、学術研究者など、さまざまな方々と共に推進してまいります。また、多様な機会を通じて研究成果を公開し、皆さまと議論を深めてまいりたいと考えます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

2020年2月1日

企業広報戦略研究所(C.S.I.) 所長
阪井 完二
(株式会社電通パブリックリレーションズ 執行役員)