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広報会議「データで読み解く企業ブランディングの未来」西武ライオンズ事例 (2020年9月号)

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ブランディング

企業広報戦略研究所では、広報会議にて「データで読み解く企業ブランディングの未来」と題し、データドリブンな企業ブランディングのこれからをひも解く指南役として2020年7月より連載を開始しました。
第2回は、「SDGsで考える企業ブランドのあり方」として、事例を交えて解説しています。
本トピックスでは、「西武ライオンズ」の事例の詳細について紹介していきます。

 


 

西武ライオンズが2019年から取り組んでいる「SAVE LIONS ~消えゆく野生のライオンを救うプロジェクト」。球団のシンボルでもあるライオンが、現在絶滅の危機に瀕していることから、「野生ライオンの保全につながる西武ライオンズができるアクション」とは何か、を皮切りに同プロジェクトは動き出しました。

プロジェクト推進に当たっては、長年ライオン保全活動に取り組む世界的な権威、イギリスオックスフォード大学と連携しました。
その活動は、わずか1年で一企業の取り組みにとどまらず、日本国内はもちろん、世界のライオンズたちの賛同を得て、今や世界的な取り組みになろうとしています。

この「SAVE LIONS」プロジェクトを主導するお一人である西武ライオンズ広報部 服部友一氏にお話をうかがいました。

 

 

 

プロジェクト実施を決めた背景をお教えください

もともと西武グループでは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に関する「ESG活動」を「サステナビリティアクション」と呼び、グループ全体で取り組んでいました。「サステナビリティアクション」には、「安全」「環境」「社会」「会社文化」の4領域に取り組むため12のアジェンダを設定し、アジェンダに沿った取り組みを進めています。

西武ライオンズでは、球団創設から70年を迎えたことを機に、この4つの領域のうち「環境」に特化した活動ができないかと考え始めたのがきっかけです。

 

 

プロジェクト推進に当たって心掛けたことはどのようなことでしょうか

プロ野球球団としてどのように取り組むか、球団ならではの取り組みとは何かを模索することに心を砕きました。

まず“選手”という強力な武器を活用する、ということが重要だと思いました。それには選手の協力が必須でした。野球を通じてどう取り組むか?選手がライオンを保全するためにできることは何か?を考えました。

さらに、当社の中でも「西武ライオンズらしさ」、「西武ライオンズならでは」の取り組みであることも大切だと考え、私たちのチームの特長は何か、ということも考えました。埼玉西武ライオンズの特長の一つは、「よく打つチーム」です。そこから「ホームラン1本につき1万円」寄付する、という案が生まれました。

嬉しい驚きだったのは、選手が想像以上に積極的だったことです。プロジェクトの説明や話し合いは試合前後のわずかな時間だったにもかかわらず、趣旨を的確に理解してくれました。また、さまざまなアイデアも出してくれ、さらには結果を出すことにも協力してくれました。2019シーズンを振り返ると、埼玉西武ライオンズはパシフィックリーグで優勝し、ホームラン王は私たちの球団の山川穂高選手でした。これにより、多くの寄付をすることができました。

加えて、去年8月7日を「SAVE LIONS DAY」と位置づけ、選手が特別なキャップを着用して試合に臨んだり、球場でファンに寄付を呼び掛けるといった活動も実施いたしました。

オックスフォード大学と連携できたことも、プロジェクトを成功に導いた一つの要因だと思います。私たちはライオン保全についてのノウハウがあるわけではありません。そこを長年の実績と豊富なネットワークのある同大学と組めたことは、プロジェクトを大きく前進させる原動力になりました。

 

 

 

 

思いがけない成果、効果を感じられたことはありましたか

通常私たちの情報発信は、プロ野球ファンやライオンズファンの皆様に向けたものが主になります。ですが今回のプロジェクトでは、ファン以外の方々にも私たちの取り組みを知っていただけたことを実感することが多く、オフ期間中のメディアからの問い合わせもこのプロジェクトに関するものが増えています。

また、この活動をきっかけに、社員のSDGsへの認知が浸透し、意識が高まったことも、効果の一つでした。私たちの活動が皆様のSDGs意識を高める結果となっていることも、大きな喜びとなっています。

 

 

今後の取り組みや課題について

今年度もプロジェクトを継続することが決まっています。

コロナ禍の現在、球場に足を運べるお客様も限られるなど、厳しい球団運営を迫られることも多いですが、SDGsの視点に立つことで、新しいビジネスにつなげていけることもあるのではないか、と思います。

例えば、プロジェクトの趣旨に賛同いただいた台湾のプロ野球球団「統一ライオンズ」では、西武ライオンズと同様の取り組みが行われるなど、国内外の多くの「ライオンズ」に賛同いただきました。今後もSDGsを軸にしたコラボレーションの可能性を探っていけたらと思っています。

 

SAVE LIONS 特設サイト https://www.seibulions.jp/special/savelions/index.html

 

聞き手:企業広報戦略研究所 上席研究員 戸上摩貴子