企業広報戦略研究所 C.S.I. Corporate communication Strategic studies Institute

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広報会議「データで読み解く企業ブランディングの未来」ソーシャルハンティング (2020年10月号)

インサイトは“聞く”より“狩る”の時代へ 「ソーシャルハンティング」のすすめ

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ブランディング 広報会議連載

企業広報戦略研究所では、広報会議にて「データで読み解く企業ブランディングの未来」と題し、データドリブンな企業ブランディングのこれからをひも解く指南役として2020年7月より連載を開始しました。第3回は、「ソーシャルリスニングから“ハンティング”へ」をテーマに解説しています。
本トピックスでは、これまでのソーシャルリスニングとの違いをさらにわかりやすく、また具体的なハンティングの手法を中心に紐解きます。

 

 

ソーシャル分析の新しい手法、「ソーシャルハンティング」とは?

ソーシャルメディアに溢れる投稿の分析は、ソーシャルリスニングが一般的です。投稿量や、話題になったツイートの拡散量、ポジ・ネガの受け止められ方、関心の高いトピックスなどを定量・定性の面で分析します。こうした分析では、量的多数をとらえることで、話題の拡散傾向や要点を抽出することができます。しかし、投稿量が少ないと、今後大きな関心事となる兆しがあっても見逃す可能性もあります。

それを補うため「ソーシャルハンティング」という手法を、当研究所と電通パブリックリレーションズで共同開発しています。

ソーシャルハンティングとは、ソーシャルメディア上から、企業や商品のコミュニケーションに役立つツイートを「捕獲(ハンティング)」するという意味。声の多寡ではなく、声の内容に着目し、“感情が発露している”あるいは“トレンドの兆しを感じる”ツイートを捉え、企業や商品のコミュニケーションに活かすアプローチ手法です。

 

マス情報として存在していないイシューやトレンドの発見に繋がるため、企業は情報発信主体者としての先行者利益を獲得できます。つまり、ソーシャルハンティングでは、量的多数の分析では見えなかった背景や、生活者のインサイトに迫り、取り組むべきイシューを発見できる可能性があるのです。

本来、「イシュー」とは社会的環境や政治的背景などにひも付く、長い時間をかけて解決する大きな課題として扱われることが多いようですが、ソーシャルハンティングでは、個々人の不具合を感じる生活者視点のイシューとして設定しています。その解決を当該製品やサービスをもって図ることで、より多くの共感が得られることになり、企業ブランディングには欠かせない視点となるのではないでしょうか。

 

ごく一部ですが、これまで発見したインサイトや行動とその活用事例には次のようなものがあります。

ライブや舞台、映画の前にブルーベリーサプリを飲む、またはコンタクトデビューをして万全の視界で“推し”をハッキリ見たい
ソーシャルハンティングで発見したこのインサイトに基づきコミュニケーションのコアを決め、販促キャンペーンに活用

■大人になった今だからこそ、母娘で旅行する「親旅」がしたい
⇒卒業旅行や家族旅行とも異なる、新しい旅の意味づけ・カタチを提案

また、インサイトやイシューの発見以外にもキャスティングでの活用にも有効です。まだ芸能界デビューしていないタレントの息子に対する人気をハンティングし、企業の周年キャンペーンのアイコンに起用(芸能界デビュー)に至った事例もあります。

 

 

インサイトに迫る効果的な方法

ソーシャルハンティングによってインサイトに効果的に迫る方法を、当研究所では体系化しています。Twitterに本音として表れやすい現状に対する不満を「7つの鬱憤 WARPATH」として整理し、鬱憤にまつわるワードを掛け合わせてツイートを検索します。「WARPATH」は「Want=欲求」「Anti=反感」などという7つの感情の頭文字を表しており、「Want=欲求」であれば、「したい」「ほしい」「したくない」などのワードを掛け合わせて検索します。

出典「広報会議10月号」

例えば、今夏は「マスク日焼け」が心配されました。実際に、5月17日にYahoo!ニュースで【夏場「マスク日焼け」起こる?】という記事が掲載され、Twitter上でも「マスク日焼け」の投稿が活発になっています。しかし、3月から「マスク日焼け」に関する投稿は少数ながら生まれています。

「WARPATH」の「Awful=悲観」を使うと、「マスク」「夏」「怖い」のキーワード検索で「マスク日焼け」に関する投稿が3月時点でヒットするのです。この発見を足掛かりに深堀りすると、「マスク日焼け」を心配する投稿がさらに見つかり、共感性が高いことが予想できます。このようにメディア起点で話題になる前から、イシューの兆しを捕獲(ハンティング)することができます。

 

出典「広報会議10月号」

また、ソーシャルハンティングでは既存の商品やサービスに対する意外性のある声を探すこともできます。「グラノーラ」を例に挙げると、「Problem=困難」を使うことで「お腹が弱いから冷たい牛乳と一緒に食べられない」「温かい牛乳をかけて食べる」といった「食べ方の工夫」が見られる投稿が発見できます。視点を変えて「Want=欲求」で「したくない」を掛け合わせて検索すると、「雨の日だからコンビニに行きたくなくて、グラノーラで食事を済ます」という「雨の日×グラノーラ」に関する投稿も見つかります。このように、同じテーマであっても鬱憤の視点を変えることで、別のインサイトやイシューの兆しが見えてくる場合もあるのです。

 

 

ソーシャルハンティングによるイシューの発見を企業ブランディングに活かす

企業や商品によっては自分たちが取り組むべきイシューを適切なサイズ感で設定できていないところもあるように感じます。大きすぎるイシューを設定し、誰もが自分ゴト化しづらい場合や、逆に自社ができることだけに意識が行き過ぎて、世の中の問題意識とズレている場合などです。

だからこそ、一方的な「企業視点」でなく、企業も生活者も自分ゴト化しやすい「世の中視点」でイシューを考える必要があります。ソーシャルハンティングを活用して、「世の中視点」で自社が取り組むべきイシューを設定し、その解決を積み重ねていくことが企業ブランディングに繋がるはずです。

 


本件に関するご質問・ご相談等は、info@dentsu-pr.co.jp (担当:増田勲、鶴岡)まで。

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